マツダアンフィニ

マツダアンフィニ：無限の可能性を追求したマツダのディーラーネットワーク

マツダアンフィニは、かつてマツダのディーラーとして存在感を示したブランドです。その歴史は、1959年に設立された「マツダオート店」にまで遡ります。当初は乗用車販売に特化し、RX-7やコスモといったスポーツカーからMPVのようなミニバンまで、幅広い車種を取り扱っていました。マツダオート店は、商用車中心のマツダ店とは異なる販売戦略を展開し、独自の地位を確立しました。

1989年、マツダは販売チャネルの多角化を進め、5チャンネル体制を構築します。ユーノス、オートザムといった新たなブランドとともに、マツダオート店もその一角を担いました。そして1991年、マツダオート店は「アンフィニ店」へと生まれ変わります。

アンフィニという名称は、フランス語で「無限」を意味し、無限の喜びをお客様に提供するというブランド理念を体現していました。特徴的なロゴと緑色のイメージカラーも、ブランドのアイデンティティを際立たせていました。全国のアンフィニ店は、マツダが直接統括管理し、広告においても「マツダ」の名前を伏せて展開することで、独立したブランドとしてのイメージを確立しようとしました。

アンフィニ店時代には、MS-6、RX-7、MS-8、MS-9、MPVといった個性的な車種がラインナップされ、アルファベットと数字の組み合わせによる車名も話題となりました。これらの車種は、マツダの技術力とデザイン性を象徴する存在であり、多くのファンを獲得しました。また、一部車種はマツダ店でも販売され、ブランド専売体制とは異なる戦略も見られました。

しかし、バブル経済崩壊後の経営悪化により、マツダは1996年にユーノス店とアンフィニ店を統合し、マツダアンフィニ店へと再編しました。5チャンネル体制は終焉を迎え、アンフィニブランドはマツダブランドの一部として、その歴史に幕を閉じました。

統合後、マツダアンフィニ店では、旧ユーノス店のロードスターやプレッソといった車種も販売されました。しかし、ロードスターはその後「マツダ・ロードスター」に名称変更され、プレッソは販売終了となりました。また、マツダが正規輸入権を持っていたシトロエン車も、一時的に販売されていましたが、輸入権終了後には販売を終了しています。

その後、取り扱い車種の併売が進み、最終的にはマツダ店と全く同じラインナップとなりました。地方ではマツダアンフィニ店とマツダ店が統合されるケースも増加し、アンフィニブランドの独自性は薄れていきました。現在では、アンフィニの名前を冠する店舗や法人は減少しており、ブランドとしての存在感はかつてほどではありません。

アンフィニ店時代には、地域に密着した活動を展開しており、マツダオート名古屋硬式野球部、マツダオート広島サッカー部、アンフィニ北海道サッカーといったスポーツチームを支援していました。また、現在も活動しているさいたまブロンコス（旧：マツダアンフィニ東京バスケットボール部）のように、スポーツを通じた地域貢献にも力を入れていました。

マツダアンフィニは、その短い歴史の中で、マツダの販売戦略において重要な役割を果たしました。独自のブランドイメージと個性的な車種は、多くの自動車ファンに記憶されています。ブランド消滅後も、その歴史と功績は、マツダの歴史の中で重要な一章として語り継がれるでしょう。

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