マツダ・タイタン

マツダ タイタン：小型・中型トラックの歴史と進化

マツダが販売する小型・中型トラック「タイタン」は、1971年の初代モデル発売以来、日本の商用車市場において重要な役割を担ってきました。長年にわたる歴史の中で、タイタンは幾度かのモデルチェンジを経て進化を遂げ、その姿は時代の流れとともに変化してきました。本記事では、タイタンの技術的特徴や歴史、そしてOEM供給などの詳細について解説します。

タイタンの概要

タイタンは、積載量1.25トンから4.5トン級の小型・中型トラックとして展開されています。ディーゼルエンジン車に加え、CNG（圧縮天然ガス）エンジン車もラインナップに含まれており、環境への配慮も進められています。かつては、ディーゼルハイブリッド車も存在していました。

マツダ独自開発時代

初期のタイタンは、マツダが独自に開発・生産していました。広島県府中町の工場で生産されたタイタンは、高い信頼性と耐久性を誇り、多くのユーザーから支持を得ました。特に4WD車は、このクラスのトラックとしては珍しく、キャブ内に差動装置を配置することで、キャブの高さを最小限に抑えた設計が特徴でした。しかし、この設計により前席のシート配置に制約が生じ、乗車定員が2名（小型のタイタンダッシュを除く）となっていました。

初代タイタン (1971年-1980年)

初代タイタンは、Eシリーズの後継として登場しました。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンを搭載したバリエーションが用意され、ボディカラーもガソリン車とディーゼル車で異なる色分けがなされていました。その後、積載量の異なるモデルや、荷台形状のバリエーションなどが追加され、ユーザーニーズへの対応が進められました。また、安全性向上のためのマイナーチェンジも実施されました。

2代目タイタン (1980年-1989年)

2代目はディーゼルエンジンのみのラインナップとなりました。エンジン排気量も拡大され、副変速機も搭載されました。また、テレビアニメ「鉄腕アトム」をCMに起用し、話題を集めました。このモデルには、競合車種と同様にウォークスルーバンタイプも設定されていました。 インドのSMLいすゞ（旧・スワラジマツダ）では、この2代目タイタンをベースとしたバスや救急車が現在も生産されています。

3代目タイタン (1989年-2000年)

3代目は、車名ロゴが「Titan」から「TITAN」に変更されました。全車にパワーステアリングが標準装備となり、4速ATやキャブサスペンションも採用されました。また、エンジンラインナップにも新たな選択肢が加わりました。幾度かのマイナーチェンジを経て、排出ガス規制への対応や装備の充実が図られました。

4代目タイタン (2000年-2004年)とタイタンダッシュ (2000年-2010年)

4代目は、4ナンバーハイルーフ車や箱バン専用シャシーが設定されました。また、積載量1トン級の小型トラック「タイタンダッシュ」も追加されました。CNG車もラインナップに加わり、環境意識の高まりに対応しました。タイタンダッシュは2010年まで販売されました。その後、マツダは自社生産を中止し、いすゞ自動車からエルフのOEM供給を受けることとなりました。

いすゞ・エルフOEM供給時代

2004年以降、タイタンは、いすゞ自動車のエルフをベースとしたOEM供給モデルとなりました。このことで、マツダは開発コストを削減し、多様なニーズに対応できるようになりました。現在も、エルフをベースとしたタイタンは販売されています。

5代目タイタン (2004年-2007年)

5代目タイタンは、いすゞ・エルフのOEM供給によるモデルとなり、エンジンラインナップの整理や、AT限定免許でも運転可能なMTなどが採用されました。4WD車やダブルキャブ車も復活しました。

6代目タイタン (2007年-2023年)

6代目は、エルフのモデルチェンジに合わせてフルモデルチェンジされました。アイドリングストップ機能の強化や新キャビンタイプの追加などが行われました。ボディカラーは限定され、安全装備の充実が図られました。何度かのマイナーチェンジを経て、環境規制への対応や燃費性能の向上などが図られました。

7代目タイタン (2023年-)

7代目は、エルフ7代目モデルに合わせてフルモデルチェンジされました。フロントフェイスのデザイン変更や、トランスミッションの変更などが行われました。安全装備はさらに充実し、先進運転支援システムなども採用されました。

タイタンLHR (2024年-)

2024年10月には、1t系小型トラック「エルフミオ」をベースとした「タイタンLHR」が発売され、マツダの商用車ラインナップに普通免許で運転可能な4ナンバー小型トラックが復活しました。

フォードへのOEM供給

初代から3代目までのタイタンは、フォードへOEM供給され、「フォード・トレーダー」として主にオセアニア地域で販売されました。また、北米地域では4代目タイタンをベースとした「フォード・LCF」も生産されました。

まとめ

マツダ・タイタンは、長年にわたる歴史の中で、技術革新と市場ニーズへの対応を繰り返してきました。いすゞとのOEM提携により、開発効率の向上と多様な製品ラインアップを実現し、日本の商用車市場に貢献し続けています。今後も、時代の変化に対応した進化を続けることが期待されます。

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