マツダ・トリビュート

マツダ・トリビュート：日米共同開発SUVの軌跡

マツダ・トリビュートは、2000年から2011年にかけて販売されたSUVです。日本市場ではスズキ・エスクードのOEM供給車であったプロシードレバンテの後継車種として登場しました。特徴的なのは、フォード・モーターとの共同開発によって生まれた点です。フォード・エスケープの姉妹車として、両社で開発された小型クロスオーバーSUVという位置づけでした。

初代トリビュート（2000年-2006年）：日米共同開発と販売戦略

初代トリビュートは2000年11月に発売されました。フォードとの共同開発によって生まれた車両は、フォード・CD2プラットフォームをベースに開発されており、モノコック構造を採用。外観は類似しているものの、外板はそれぞれ独自のデザインとなっています。エンジンは当初、フォード製の2.0L直列4気筒と3.0L V型6気筒エンジンの2種類が用意されましたが、2.0Lエンジンは後にマツダ製の2.3L直列4気筒エンジンに置き換えられました。

発売前には、ソニーミュージックエンタテインメントやアパレル企業とのコラボレーション企画「TRIBUTE link.」を実施。音楽レーベルの設立や、関連商品の販売など、幅広いプロモーション活動も展開されました。映画への協賛など、積極的なマーケティング戦略が見られました。

生産は、右ハンドル仕様がマツダの防府工場で、左ハンドル仕様がフォードの米国工場で行われていました。しかし、日本市場での販売は低迷し、2005年10月には日本国内での生産、翌年3月には販売が終了しました。この結果、マツダの日本市場におけるSUVラインナップは一時的に途絶えることとなりますが、2006年12月に発売されたCX-7によってその空白は埋められました。

日本での販売終了後も、海外市場では販売が継続されました。しかし、北米市場では2006年に一旦販売を終了し、2007年モデルは存在しません。アジア太平洋地域では、2006年2月にフェイスリフトを行い、オーストラリアで初公開。台湾の福特六和汽車での生産に集約され、完成車の輸出が始まりました。台湾では一部グレードが「マツダ・オシャレ」という名称で販売されるなど、地域独自の販売戦略がとられました。フェイスリフトでは、ヘッドランプ、フロントグリル、バンパーなどのデザイン変更に加え、ギアシフトレバーがコラム式からフロア式に変更されるなど、内装にも変更が加えられました。

オーストラリア市場では、2007年からCX-7の投入により2008年に販売終了しましたが、一部市場では2010年前半まで販売が続けられました。

2代目トリビュート（2007年-2011年）：北米市場を中心に販売継続

2代目トリビュートは、2007年1月の北米国際オートショーでハイブリッド仕様車が、モントリオールオートショーで通常モデルが初公開され、同年3月に2008年モデルとして発売されました。初代とは異なり、ボディシェルをエスケープと共有。エンジンやプラットフォームは先代モデルからのキャリーオーバーでした。

日本やオーストラリアなどを除くアジア太平洋地域では、初代モデルのフェイスリフト版が引き続き販売されました。2代目の販売市場においては、CX-5の登場する2012年まで販売が継続された地域もありました。

車名の由来

「TRIBUTE」は英語で「賛辞、贈り物」を意味します。これは、マツダがフォードとの共同開発を通じて得た技術や経験、そして両社間の良好な関係への敬意を表しているのかもしれません。

まとめ

マツダ・トリビュートは、フォードとの共同開発という特徴を持ち、日本市場だけでなく、世界各国で販売されたSUVです。日本市場での販売期間は短かったものの、海外市場では長期にわたって販売され、マツダのグローバル展開に貢献しました。その歴史は、日米自動車メーカーの協調と競争、そして変化する市場への対応といった、現代自動車産業のダイナミズムを映し出していると言えるでしょう。

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