フォード・エスケープ

フォード・エスケープ：コンパクトSUVの進化の歴史

フォード・エスケープは、フォード社が製造・販売するコンパクトクロスオーバーSUVです。長年にわたる改良とモデルチェンジを経て、世界中で人気を博しています。その歴史と特徴を詳しく見ていきましょう。

初代モデル (2000-2012年)：マツダとの共同開発

2000年に販売が開始された初代エスケープは、フォードと当時傘下だったマツダの共同開発による小型SUVで、マツダからは姉妹車トリビュートが発売されました。専用設計のモノコックプラットフォームを採用し、2.0L直列4気筒エンジンと3.0L V型6気筒エンジンの2種類が設定されました。2003年には、直列4気筒エンジンがマツダ製の2.3Lに切り替えられています。

北米市場だけでなく、日本市場にも2000年12月6日に導入され、欧州市場ではフォード・マーヴェリックとして販売されました。2004年にはマーキュリー・マリナーというバッジエンジニアリング車も登場しています。2006年にはフェイスリフトされ、シフトレバーがコラム式からフロア式に変更されました。また、日本仕様車は、マツダ製から台湾・福特六和汽車の工場で生産されたものへと変更されました。2008年にはエクステリアデザインを刷新、フロントマスクやバンパーなどを変更し、モデルバリエーションも整理されました。2009年にはさらなるマイナーチェンジを行い、2013年に2代目クーガの登場により日本市場からの撤退となりました。

エスケープ・ハイブリッド：SUV初のハイブリッド

2004年には、世界初のSUV用ハイブリッドシステムを搭載したフォード・エスケープ・ハイブリッドが登場しました。トヨタ・プリウスと同様のシステムを採用しているものの、トヨタからの技術協力は受けていないとされています。2.3L直列4気筒アトキンソンサイクルエンジンとアイシンAW（現・アイシン）との共同開発によるハイブリッドシステム、三洋電機製バッテリーを組み合わせ、アメリカ・ミズーリ州カンザスシティで生産されました。姉妹車としてマーキュリー・マリナー・ハイブリッドも存在しました。

生産拠点の変遷

当初、右ハンドル車はマツダ防府工場、左ハンドル車はフォードのカンザスシティ工場で生産されていましたが、日本市場での販売不振を受け、2006年からは北米向けをフォードの米国工場、アジア太平洋向けを台湾の福特六和汽車工場で生産する体制に変更されました。これにより、マツダ防府工場での生産は2006年1月に終了しました。

2代目モデル (2007-2012年)：先代からの進化

2006年12月のロサンゼルスオートショーで初公開された2代目モデルは、エンジンとプラットフォームを先代から引き継ぎ、2007年から2008年モデルとして販売されました。ニューヨーク市では、ハイブリッドモデルがイエローキャブとして採用された実績があります。

3代目モデル (2012-2019年)：プラットフォームの変更とグローバル展開

2011年のロサンゼルスオートショーで初公開された3代目モデルは、フォードCD2プラットフォームからC1プラットフォームへと変更され、2013年にフルモデルチェンジされた2代目クーガとボディを共有する「ワン・フォード・プログラム」戦略の一環となりました。初代から設定されていたハイブリッドモデルは廃止されました。日本を含むアジア太平洋地域では初代モデルが引き続き販売されましたが、韓国では米韓自由貿易協定に基づき3代目モデルが導入されました。日本市場では2013年に販売が終了しました。

4代目モデル (2019年 - )：デザインとパワートレインの刷新

2019年に登場した4代目モデルは、先代と同じくクーガとボディを共有しますが、エクステリアデザインは一新され、より滑らかなフォルムとなりました。1.5L直列3気筒ターボエンジンと2.0L直列4気筒ターボエンジンが設定され、8速ATと組み合わされます。1.5LモデルはFFと4WD、2.0Lモデルは4WDのみが設定されました。また、12年ぶりにハイブリッドモデルが復活し、2.5L直列4気筒エンジンを搭載するプラグインハイブリッドモデルも初めてラインナップされました。中国市場向けには、異なるフロントグリルが採用されています。

フェイスリフトとコンセプトカー

2022年10月には、米国で2023年モデルが発表され、フロントグリルやヘッドライトのデザインが変更されました。また、「STライン」と呼ばれるスポーティーな仕様も追加されています。2005年と2007年の東京モーターショーには、それぞれ「フォード・イクエイター・コンセプト」と「フォード・エスケープ・アドベンチャー・コンセプト」が出展されました。

まとめ

フォード・エスケープは、長年に渡り進化を続け、常に時代のニーズに応えるコンパクトクロスオーバーSUVとして存在感を示し続けています。その歴史は、自動車技術の進歩とグローバル市場への対応を鮮やかに反映したものです。

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