マツダ・CX-60

マツダCX-60：高級クロスオーバーSUVの挑戦と課題

マツダCX-60は、同社が2022年に発表したラージ商品群の第1弾となる高級クロスオーバーSUVです。FR駆動をベースとした新開発プラットフォーム「SKYACTIVマルチリューションスケーラブルアーキテクチャー」を採用し、2.5L直4ガソリン、3.3L直6ディーゼル、そしてマツダ初となるプラグインハイブリッドシステムe-SKYACTIV PHEVを搭載するモデルもラインナップされています。

先進技術と高い安全性能

CX-60は、縦置きエンジンのFRレイアウトと、マツダCUV初となるFRベースの四輪駆動システム「i-ACTIV AWD」が特徴です。後輪駆動向けに開発された電子制御カップリングは、駆動力の伝達効率とレスポンスを高めています。また、軽量化にもこだわり、リアプロペラシャフトの貫通構造の採用や、ステアリングコラムの部品点数削減などにより、車両全体の軽量化を実現しています。その結果、2022年のユーロNCAP衝突テストで最高評価の五つ星を獲得するなど、高い安全性能も確保しています。さらに、パナソニック製のフルディスプレイメーターも採用され、先進的な装備も充実しています。

発売当初からの課題：乗り心地と不具合

CX-60は発売直後から、乗り心地に関する多くの批判を受けました。特にサスペンションの硬さが指摘され、荒れた路面での走行では不快感があると多くのユーザーやジャーナリストから報告されています。また、低速時のミッションのギクシャク感や、直列6気筒ディーゼルのエンジンノイズの大きさが問題視されています。

マツダはこれらの問題に対し、発売開始時期の延期や部品の変更、ソフトウェアのアップデートなど、複数の改良策を実施しました。リヤダンパーやスタビライザーの仕様変更、トランスミッション内部構造の変更など、ハードウェアとソフトウェア両面からの改善が行われています。しかしながら、自動車ジャーナリストの中村孝仁氏も指摘するように、乗り心地の改善は十分ではなく、依然として課題が残されているのが現状です。

さらに、発売以来、複数のリコールやサービスキャンペーンが実施されており、開発や品質検証プロセスにおける不備が指摘されています。2024年10月までに国土交通省へ9回のリコール届出（延べ23項目）、同年11月までにサービスキャンペーン4回（延べ20項目）が行われています。これらの不具合対応は、マツダの品質管理体制に対する疑問を投げかけています。

競合車種との比較と市場での位置づけ

CX-60は、BMW X3、メルセデス・ベンツ GLC、アウディ Q5、レクサス NXといった高級SUVと比較されることが多いです。海外メディアの評価では、デザインやPHEVの効率性などを高く評価する一方で、サスペンションの硬さや細部の作り込みの不足を指摘する声もあります。CX-60は、価格面でもこれらの競合車種と伍して戦うことを目指していますが、乗り心地の問題など、克服すべき課題が依然として残されています。

まとめ

CX-60は、マツダの技術力の高さを示す優れたモデルである一方、発売当初からの不具合や乗り心地の問題、そしてその対応過程は、マツダの品質管理体制や開発プロセスに対する課題を浮き彫りにしました。今後のさらなる改善と、市場での競争力強化が求められます。今後の動向に注目です。

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