ヤコポ・ダ・ボローニャ

ヤコポ・ダ・ボローニャ（Jacopo da Bologna, 1340年頃 - 1360年頃）は、14世紀イタリア、トレチェント音楽の初期に活躍した音楽家です。彼は、イタリアに初めて多声音楽をもたらした作曲家の一人として知られています。

1340年代から、ミラノの僭主ルキーノ・ヴィスコンティの宮廷に出入りし、マギステル・ピエーロやジョヴァンニ・ダ・カッシャと共に活動しました。1350年頃には、ヴェローナのスカラ家のマスティーノ2世の宮廷において、ジョヴァンニ・ダ・カッシャと音楽の腕を競い合ったという記録が残されています。この3人の中で、ヤコポ・ダ・ボローニャは最も高名であり、現存する作品数も最多です。彼はヴィスコンティの宮廷でペトラルカと知り合ったと考えられており、ペトラルカの詩に曲をつけた作品も残しています。

ヤコブス・デ・ボノーニア（Jacobus de Bononia）やヤコブス・ボノニエンシス（Jacobus Bononiensis）という別名でも知られており、これらの名前は彼がボローニャ出身であることを示唆しています。

彼の作品は、主にスクアルチャルーピ写本、パンチャティーキ写本、レイナ写本などに収められています。具体的には、31曲のマドリガーレ（うち2曲はカノン）、1曲のバッラータ、1曲のカッチャ、そして2曲のモテットが現存しています。

ヤコポ・ダ・ボローニャの代表的な作品としては、以下のものが挙げられます。

3声の3重マドリガーレ『誇り高き鷲』（Aquila altera）
2声のマドリガーレ『我は不死鳥なりき』（Fenice fu）
ペトラルカのテキストに基づいた2声のマドリガーレ『ディアーナが愛する男にこころよく思われなくなったのは』（Non al suo amante piú Dïana piacque）
ルキーノ・ヴィスコンティに双子が誕生したことを祝って1346年8月頃に作曲されたとされる2声のマドリガーレ『おおイタリアのすばらしきリグーリア』（O in Italia felice Liguria）

これらの作品は、14世紀イタリアの音楽様式を色濃く反映しており、彼の音楽家としての才能を今日に伝えています。

もう一度検索