マニエリスムの芸術家

マニエリスムの芸術家たち

この項目では、マニエリスム、および北方マニエリスムの作風を持つ芸術家とその作品を紹介します。マニエリスムは、ルネサンス期の古典的な調和や均衡を意識的に崩し、より個性的でドラマチックな表現を追求した芸術運動です。ここでは、各年代を代表する芸術家たちを概観し、その作風の特徴を解説します。

マニエリスムとは

マニエリスムは、16世紀初頭から17世紀初頭にかけて、主にイタリアで発展した美術様式です。ルネサンス盛期の巨匠たちの作品に影響を受けつつも、その様式を模倣するだけでなく、より主観的な表現を追求しました。その特徴としては、引き伸ばされた人体、不自然なポーズ、劇的な光の表現、そして複雑な構図などが挙げられます。マニエリスムは、絵画だけでなく、彫刻や建築など、幅広い分野に影響を与えました。

北方マニエリスム

マニエリスムは、イタリアだけでなく、ヨーロッパ各地にも広がりました。特に北方ヨーロッパでは、独自の発展を遂げ、「北方マニエリスム」として知られています。北方マニエリスムは、イタリアのマニエリスムの影響を受けつつも、より現実的で細密な描写や、象徴的な要素を強調する傾向があります。

各年代の芸術家

以下に、各年代を代表するマニエリスムの芸術家とその作品を簡単に紹介します。

1351年-1400年

この時期は、まだマニエリスムの萌芽が見られる段階です。ゴシック様式からルネサンスへの移行期であり、この時代の芸術家たちは、後のマニエリスムの基礎となる表現を模索していました。

1451年-1500年

ルネサンス初期にあたり、マニエリスムの直接的な影響はまだ少ないですが、この時期の芸術家たちは、後のマニエリスムに繋がる、人体表現や空間構成への実験を始めています。

1501年-1550年

この時期は、マニエリスムが本格的に開花する時期です。ラファエロやミケランジェロなどのルネサンス巨匠の影響を受けつつ、彼らの様式を意識的に変容させ、独自の表現を追求する芸術家が現れました。

1551年-1600年

マニエリスムが最も隆盛した時期であり、様々な様式が生まれました。この時期の芸術家たちは、より技巧的な表現や、ドラマチックな構図を多用し、鑑賞者の感情を揺さぶる作品を制作しました。エル・グレコのように、独特なスタイルを確立した芸術家も現れました。

1601年-1650年

この時期になると、バロック様式が台頭し、マニエリスムは衰退していきます。しかし、一部の芸術家は、マニエリスムの様式を受け継ぎつつ、バロック的な要素を取り入れた作品を制作しました。

代表的な芸術家

マニエリスムの芸術家として、特に重要な人物として以下の芸術家が挙げられます。

エル・グレコ: 独特な引き伸ばされた人体表現と、神秘的な雰囲気を持つ作品で知られています。
パルミジャニーノ: 優美な線と、洗練された色彩感覚が特徴です。
ブロンズィーノ: 冷静で洗練された肖像画を得意としました。
ポントルモ: 不安定な構図と、感情的な表現が特徴です。
フェデリコ・バロッチ: 柔らかな色彩と、繊細な光の表現が魅力です。

これらの芸術家たちは、それぞれ独自のスタイルを持ちながらも、マニエリスムという大きな潮流の中で、その個性を発揮しました。彼らの作品は、ルネサンスとバロックの架け橋となる、重要な位置を占めています。

まとめ

マニエリスムは、ルネサンスの古典的な美しさとは異なる、独特な表現を追求した芸術運動です。この運動は、絵画だけでなく、彫刻や建築など、幅広い分野に影響を与えました。マニエリスムの芸術家たちは、それぞれの個性的な才能を発揮し、後世の芸術に大きな影響を与えました。

参考文献

池上英洋『もっと知りたいラファエッロ: 生涯と作品』（初）東京美術〈アート・ビギナーズ・コレクション〉、2009年。ISBN 978-4-8087-0879-5。
石鍋真澄; 堀江敏幸『誰も知らないラファエッロ』新潮社〈とんぼの本〉、2013年。ISBN 978-4-10-602242-5。
Greco; 大高保二郎; 安發和彰; 新人物往来社『エル・グレコの世界』（初）新人物往来社、2012年。ISBN 978-4-404-04252-1。
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甲斐教行「<論文>フェデリコ・バロッチの制作過程:セニガリアの<キリスト埋葬>を中心に」『五浦論叢 : 茨城大学五浦美術文化研究所紀要』第4号、茨城大学五浦美術文化研究所、1998年。
末吉雄二『世界美術大事典』 3 (しーてえ)、小学館、1989年。ISBN 4096993131。

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