マヌエル・ベルグラーノ

マヌエル・ベルグラーノ（1770年6月3日 - 1820年6月20日）は、アルゼンチンの独立運動における重要な指導者であり、政治家、軍人としても活躍しました。特に、アルゼンチン国旗の制定者として広く知られています。ブエノスアイレスの5月広場に立つ彼の騎馬像は、観光名所として親しまれています。

生涯

ベルグラーノはブエノスアイレスで生まれ、スペインのサラマンカ大学で自由主義的な貿易思想を学びました。帰国後の1801年には、アルゼンチン初の新聞「Telegrafo mercantil」を創刊し、言論の自由を推進しました。

1806年のイギリス軍侵攻の際には、サンティアゴ・デ・リニエルスの指揮下でブエノスアイレス市民軍に参加し、イギリス軍と勇敢に戦いました。翌年にはリニエルスらと共に軍事評議会を結成し、防衛体制の強化に尽力しました。

1810年、マリアーノ・モレーノらと共に愛国政権評議会を組織し、副王に対して反旗を翻しました。革命軍を率いて、スイパーチャの戦いで副王軍に勝利し、第一次アルト・ペルー攻略を成功させました。

しかし、翌年のパラグアイ侵攻は失敗に終わりました。1812年には、青年将校らと共に南米独立運動を推進する「ラウタロ結社」を結成し、独立運動の機運を高めました。

北部軍司令官として、ベルグラーノはトゥクマンの戦いやサルタの戦いで重要な勝利を収めました。1813年には第二次アルト・ペルー攻略を指揮し、ポトシを解放しましたが、その後の第三次アルト・ペルー攻略では、ウアキの戦い、ビルカプーギオの戦い、アヨウーマの戦いで相次いで敗北し、独立軍は大きな損害を受けました。この責任を取り、1814年に北部軍司令官を辞任しました。

司令官辞任後、ベルグラーノはアルゼンチンの国制を探るためイギリスに赴きましたが、フランス革命の混乱と挫折から影響を受け、立憲君主制を支持するようになりました。1816年に帰国後、トゥクマン議会で南アメリカ連合州の独立宣言の起草に貢献し、インカ皇帝を戴く立憲君主制国家の樹立を提案しましたが、この構想は実現しませんでした。

1820年、ベルグラーノは50歳でその生涯を閉じました。彼の死後、アルゼンチンの経済改革と独立運動への貢献が改めて評価され、命日の6月20日は「国旗の日」として国民の祝日となっています。また、10アルゼンチン・ペソ紙幣には彼の肖像が使用されています。

遺産

マヌエル・ベルグラーノは、アルゼンチンの独立と国家形成に不可欠な役割を果たした英雄として、今もなお国民から深く尊敬されています。

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