マヌエル・ランシニ

マヌエル・ランシニは、1993年2月15日にアルゼンチンのブエノスアイレス州イトゥサインゴで生まれたサッカー選手です。ミッドフィルダーを主なポジションとし、そのキャリアを通じて創造性溢れるプレーを見せてきました。現在は、自身がプロの道を歩み始めたクラブであるCAリーベル・プレートに所属しています。

彼のキャリアは、CAリーベル・プレートのユースチームで始まりました。2010年8月8日には、CAティグレ戦でプロ初出場を果たし、その才能を示します。その後、2011年にはブラジルのフルミネンセFCへ期限付き移籍し、海外での経験を積みました。フルミネンセでは、2012年にカンピオナート・カリオカとカンピオナート・ブラジレイロ・セリエAの二冠獲得に貢献しています。

南米での成功を経て、2014年8月6日にはアラビアン・ガルフ・リーグのアル・ジャジーラ・クラブと4年契約を結び、新たな挑戦の場を中東に移します。しかし、彼のキャリアにおいて最も長く、かつ影響力のある時期は、その後に訪れました。

2015年、ランシニはプレミアリーグのウェストハム・ユナイテッドFCに加入します。当初は期限付き移籍でしたが、その活躍が認められ、後に完全移籍へと移行しました。2015年8月15日のレスター・シティ戦でプレミアリーグデビューを飾り、続く8月29日のリヴァプール戦では記念すべきプレミアリーグ初ゴールを記録しました。2015-16シーズンには26試合で6得点とまずまずの成績を残すと、2016-17シーズンにはチームの中心選手であったディミトリ・ペイェの移籍後、攻撃の要としてさらに存在感を増し、35試合で8得点を挙げる活躍を見せ、このシーズンのクラブ年間最優秀選手に選ばれています。

しかし、順風満帆ではなかった時期もあります。2018-19シーズン開幕前には前十字靭帯に重傷を負い、長期離脱を余儀なくされ、復帰は翌年2月にまでずれ込みました。この怪我は彼のキャリアに大きな影響を与えましたが、彼は粘り強く回復し、ピッチに戻ってきました。2019年8月にはウェストハムとの契約を2023年まで延長し、クラブへの忠誠を示しました。

ウェストハムでのキャリアにおける特筆すべき瞬間として、2020年10月18日のトッテナム・ホットスパーFC戦での劇的なゴールが挙げられます。3点ビハインドで迎えた試合終了間際、彼はペナルティエリア外から強烈な同点弾を叩き込み、チームに貴重な勝ち点をもたらしました。このゴールは10月のプレミアリーグ月間最優秀ゴールに選ばれ、結果的にこの勝ち点がウェストハムのUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ出場権獲得に繋がる重要な一撃となりました。ウェストハムには2023年6月15日まで所属し、その間にUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ優勝も経験しました。

国際舞台では、2017年5月にアルゼンチン代表に初招集され、同年6月9日のブラジルとの親善試合でフル代表デビューを果たしました。2018年3月23日のイタリア戦では代表初得点を挙げています。2018 FIFAワールドカップに向けた代表メンバーにも選出されましたが、大会直前の負傷により無念の離脱となり、代わりにエンソ・ペレスが招集されることとなりました。

ウェストハム退団後、ランシニは2023年8月2日に自身がプロキャリアを始めた古巣、CAリーベル・プレートへの復帰を選び、再び母国の地でプレーしています。これまでのキャリアで、フルミネンセでのブラジル国内主要大会優勝、リーベル・プレートでのプリメーラ・ディビシオン優勝、ウェストハムでのUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ優勝など、複数のクラブでタイトルを獲得しています。彼のキャリアは、南米、中東、そしてイングランドという多様な環境での経験と、重要な局面での輝きに彩られています。

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