マハーカーラ

マハーカーラの概要

マハーカーラ（サンスクリット語: महाकाल, Mahākāla）は、ヒンドゥー教、仏教、シーク教において共通の神格として位置づけられています。ヒンドゥー教では、シヴァの別名としても知られ、その配偶者である女神マハーカーリと共に、特にシャクティ派の信仰において重要な役割を果たします。

また、密教仏教、特にチベット仏教では、マハーカーラは各宗派の守護神として広く崇拝され、日本の真言宗では護法善神として位置づけられています。日本では大黒天として知られ、その名は北京語や広東語、朝鮮語でも用いられ、シーク教のマーヤーを司る存在ともされています。

語源と基本概念

「マハーカーラ」という名前は、サンスクリット語の「mahā（偉大な）」と「kāla（時間、または死）」という言葉から成り立っています。このため、マハーカーラは「時間を超越した者」や「死を意味する者」として解釈されることがあります。チベット語では「偉大な黒い人」という意味を持つ名称が使われており、守護者としての側面が強調されています。

マハーカーラの姿

サティ・サムガマ・タントラによれば、マハーカーラは恐ろしい存在として描かれ、四本の腕を持ち、額には三つ目が存在し、周囲には八ヵ所の火葬場が広がっています。彼は身を飾るために八つの頭蓋骨や五体の骸を利用し、手には三つ又の槍、太鼓、鎌を携えています。

彼の全身には火葬場の灰が降りかかり、周囲にはハゲタカとジャッカルが集まっています。マハーカーラとカーリー（マハーカーリー）は時間の流れを象徴し、宇宙の秩序を守る絶対的な力を示しています。両者は規則や制約に縛られず、宇宙を解散させる役割を担っています。

色と形の象徴

一般にマハーカーラは黒い姿で描かれます。黒は全ての色を吸収し、すべてを含む性質を持つことから、彼自身があらゆる存在と形態を溶かし込む力を象徴しているのです。黒はまた、完全に色を欠いた状態も示し、マハーカーラの本質である絶対の現実を表現しています。「ニルグナ（nirguna）」という概念は、その絶対性と包括性を強調しています。

教義と様々な姿

大乗仏教の中では、マハーカーラは護法善神として信仰され、多様な姿で描かれています。それぞれの描写には、マハーカーラの持つさまざまな側面や本質が反映されており、時には聖観音やカクラサバラと重なることがあります。特に注目されるのは、彼の王冠に飾られた五つの頭蓋骨であり、これは五つの煩悩が五智如来に転じる過程を表しています。

形態に関しても様々であり、腕の本数や体の色、持つ道具が異なるため、実際には多くのバリエーションがあります。たとえば、白い六腕のマハーカーラや、時には二腕のものも見受けられます。

密教のマハーカーラ

密教では、マハーカーラは種々の宗派に伝わる守護者としての形態をもち、特にシャンパ・カギュ派から派生した形態が影響を与えています。四本腕や六本腕のものなど、様々な形が存在することは、彼が持つ多様な側面を示しています。特に、二本腕の「黒衣のマハーカーラ」はカルマ・カギュ派のマントをまとった者たちの守護者として重んじられています。

最後に

影響力のあるマハーカーラは、ヒンドゥー教、仏教、シーク教の信仰において、時間や死、宇宙の運命を支配する存在として不動の地位を占めています。彼は恐れられつつも崇敬される存在であり、その姿は人々に対して深い教訓を与え続けているのです。

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