マハール

マハール

マハール（英: Mahar）は、エドガー・ライス・バローズが創り出したペルシダーシリーズに登場する架空の知的生命体です。彼らは翼竜のランフォリンクスから進化を遂げ、全長約2メートルの姿を持つこの生物は、空中でも水中でも活動ができる特異な生態を有しています。

生態と特性

マハールの最大の特徴は、その構造です。彼らは皮膜の翼と水かきがあり、空を飛ぶことや水中を泳ぐことが可能です。しかし、聴覚を持たず音を感じ取ることができません。代わりに超人的な視力を持ち、テレパシーに似た能力を利用して他者との交信を行います。この能力は、目の前にいる対象に限定されていて、異なる種族とのコミュニケーションが難しいという制約があります。

このコミュニケーション方法により、彼らは人間の会話を理解することができず、ギラクと呼ばれるペルシダーの人類が文字を持っていないため、「人間が言葉を持つこと」に疑問を抱くマハールもいます。

社会構造

かつては男性主導の社会でしたが、未受精卵を産み、人工授精を行う新たな方法が導入された結果、ほぼ女性だけの社会に変貌を遂げました。この人工授精の技術は、一族にとって最重要な秘密であり、シリーズの主人公であるデヴィッド・イネスがこれを盗んだことで大騒ぎとなります。

文化と習慣

彼らは穴居都市に住み、高度な建築技術を持っています。サゴスと呼ばれる類人猿を使役し、捕虜となった人間を奴隷として使うことも珍しくありません。食性は肉食であり、他の生物では魚を好みますが、特定の行事では人間の肉も食することがあります。催眠状態にして食べることもあったため、これがさらなる衝撃を与える要因となっていました。

また、彼らは仲間同士や知的存在に対しては公正で、義理を重んじる文化を持っています。特にデヴィッドとのやり取りでは、トゥ・アル・サが彼の助命を求めたり、恩を感じる一幕が見受けられます。

支配と衰退

初めの頃、マハールは巨大な空洞世界ペルシダーを支配していましたが、やがて彼らは人類にその地位を譲ります。その後、マハールは知られざる敵、すなわちコルサール人に脅かされ、デヴィッドのペルシダー帝国に庇護を求めるまでに落ちぶれました。

彼らの絶滅に関する記録はなく、その存在は謎に包まれ続けていますが、周辺の部族にはその名が知られていました。これは、マハールが未だペルシダーの辺境には存在していることを示唆しています。

まとめ

マハールの存在は、バローズの作品において深い考察を呼び起こします。特に人間を食べるという概念に対しての衝撃的な描写は、それまでの人類中心の視点を覆すものであり、歪められたキリスト教的世界観への風刺を含んでいます。このような要素が、彼らのキャラクターを印象的に際立たせていると言えるでしょう。

最後に、映画『地底王国』では、マハールがメーハーとして描かれるなど、彼らの影響はメディアを超えて続いています。様々な視点から考古学や人類学における議論を促す存在であるマハールは、読者や視聴者に深く印象を残すキャラクターのひとつです。

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