マフムード・バルザニイの乱

マフムード・バルザニイの乱

概要

マフムード・バルザニイの乱は、クルド人指導者であるシェイク・マフムード・バルザニイが主導した一連の反乱で、イギリス統治下のメソポタミア及びイラク王国において発生しました。この乱は1919年から1924年にかけて繰り返され、現代のイラク・クルド紛争へとつながる歴史的な出来事とされています。

背景

第一次世界大戦が終わった後、イラクのクルディスタン地域では、シェイク・マフムード・バルザニイが最も影響力のある人物として浮上しました。彼はイスラム神秘主義の教団に属し、かつてのトルコ帝国にあたるドホーク県の知事に任命されました。しかし、彼の権力はイギリスの支配に対抗するための根拠となりました。

1919年の反乱

1919年、シェイク・マフムードはクルド人に対しイギリスに対するジハード（聖戦）を呼びかけ、彼の影響力を拡大させました。彼は、地域の実権を掌握し、クルド人部族からの支持を得るために兵を募ります。その結果、彼は自己を「クルディスタンの支配者」と名乗ることとなります。彼の呼びかけは多くのクルド人を動員し、国家への自由と社会的地位の向上を求める闘争へと発展しました。

この段階で、シェイク・マフムードの軍勢は多くの部族の支持を受けるようになり、彼らの中には将来クルド人ナショナリズムの指導者となるムスタファ・バルザニも含まれていました。彼は、仲間たちと共にシェイク・マフムードの元へ向かいましたが、反乱に間に合わず、数百人という規模化はたった一部に留まってしまいました。

反乱の鎮圧

イギリス政府はシェイク・マフムードの活動に危機感を抱き、彼を制圧するために軍を派遣しました。1919年6月、イギリス陸軍はスレイマニヤ近郊でシェイクの軍勢を打ち破り、彼を捕まえました。その結果、シェイク・マフムードは1921年にインドへ追放されました。しかし、彼の支持者たちは逮捕後もイギリスに対する抵抗を続け、反英運動は衰えませんでした。

1922年の反乱

1922年に入り、シェイク・マフムードは再度知事に任命され、その後再び反乱を起こします。この時、彼は「クルディスタン王国」の国王を自称します。しかし、1924年に再びイギリス軍に敗北し、彼の主導権は失われました。イギリス政府はイラクをファイサル1世に譲り渡し、地域の規律を維持しようとしました。

その後の動向

シェイク・マフムードは敗北後、山岳地域に身を隠しましたが、1930年から1931年には再び権力掌握を試みますが、これも失敗に終わります。その後、新たなイラク政府との和解を図り、1932年には独立を果たしたイラク王国に戻ります。

このように、マフムード・バルザニイの乱はクルド民族の闘争の歴史の中で重要な一章を形成し、後のイラク・クルド問題への道筋をつけることになりました。

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