マムシグサ

マムシグサ（蝮草）

マムシグサ（学名：Arisaema serratum）は、サトイモ科テンナンショウ属に属する多年草であり、有毒植物として知られています。その独特な外観から、多くの人々に認識されています。

特徴

マムシグサは、北海道から九州にかけての広い範囲に分布しており、山地や原野の湿った林床に生育します。この植物は、形状に多様性が見られる多年草であり、成長すると高さは50cmから60cm程度に達します。

葉は通常2個あり、それぞれが7個から15個の楕円形の小葉で構成されています。地下には平たい円形の球茎を持ち、偽茎と呼ばれる部分は、葉柄下部の2つの葉鞘が重なって形成され、紫褐色のまだら模様が特徴的です。この模様がマムシの模様に似ていることが、名前の由来となっています。地方によっては、「ヘビノバッコ」（秋田県）や「ヘビデバチ」（岩手県）とも呼ばれています。

マムシグサは雌雄異株であり、晩春に花茎を直立させて開花します。苞（仏炎苞）は通常紫色に近く、白い線が入っていますが、緑色の苞を持つ個体も存在し、これらはアオマムシグサまたはカントウマムシグサと呼ばれます。花のつき方（花序）は肉穂花序の典型的な例であり、苞の中にまっすぐに立っています。花期は4月から6月です。

秋には橙色から赤色に熟す果実を付け、その形状はトウモロコシに似ています。

毒性

マムシグサは全草に毒性があり、特に球根に多く含まれています。シュウ酸カルシウムの針状結晶、サポニン、コニインなどの有毒成分を含み、これらの物質が人体に悪影響を及ぼします。汁が皮膚に触れると炎症を引き起こし、誤って摂取すると口から喉にかけて激しい痛みが生じ、唾を飲み込むことさえ困難になります。さらに、激しい下痢や嘔吐、心臓麻痺などの症状が現れ、重症の場合には死亡に至ることもあります。取り扱いには十分な注意が必要です。

近縁種

マムシグサの近縁種としては、ウラシマソウ（Arisaema thunbergii subsp. urashima）が挙げられます。ウラシマソウもまた、特徴的な外観を持つ植物であり、マムシグサと同様に注意が必要です。

ギャラリー

[マムシグサの画像1]
[マムシグサの画像2]
[マムシグサの画像3]
[マムシグサの画像4]

参考文献

• - 冨成忠夫『野草ハンドブック1　春の花』山と渓谷社、1974年（1984年16版）、107ページ、ISBN 4635060012

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