マメヅタ

マメヅタ（豆蔦）について

概要

マメヅタ（学名: Lemmaphyllum microphyllum）は、ウラボシ科に分類されるシダ植物です。主に樹木や岩に着生し、その茎を這わせる特性があります。特に特徴的なのは、その独特な形を持つ丸い葉であり、山間部でよく見かけます。別名としてマメシダ、マメゴケ、イワマメ、マメヅル、イシマメなどがあり、地域によって呼び名が異なることがあります。

特徴

マメヅタの茎は細く、長くも伸び、葉をまばらに付けます。この植物には栄養葉と胞子葉の二つの種類があります。栄養葉は水分を多く蓄えた肉厚で丸い形をしており、その長さはおおよそ1～2cmほどです。葉柄は細く、数ミリ程度です。

一方、胞子葉は長さが約6cmのへら状で、栄養葉に比べて細長く、やや反り上がっています。胞子葉は栄養葉より高く立ち上がり、蛇が頭を上げた時のような印象を与えます。裏面には胞子のうが整列して、縦に二本の茶色の線状に見えるため、視覚的にも非常に特徴的です。

生育環境と分布

マメヅタは樹木や岩に生息し、山林の中だけでなく道路沿いなどでも生育することが多いです。特に車道の土手やコンクリート面にも見られることがあります。分布する地域は日本の東北地方南部から琉球列島にかけて広がっており、海外では朝鮮南部、中国、台湾にも存在しています。

類似種

この種に属する植物は日本、中国、そして東南アジアに約10種存在しています。特に日本にはオニマメヅタ（L. pyriforme）があり、屋久島などで確認されています。オニマメヅタは葉の先端が尖り、胞子葉が広い点が特徴で、胞子のうが丸く二列に並ぶため、マメヅタとは異なる印象を与えます。さらに、沖縄の方ではマメヅタが大きく細長くなることから、リュウキュウマメヅタ（L. m. var. obovatum）という変種として扱われることもあります。

また、マメヅタに似たような姿のラン科の着生植物として、マメヅタラン（Bulbophyllum drymoglossum）もありますが、葉のサイズや硬さ、匍匐茎や根の質感などで区別が可能です。ラン科の植物はマメヅタよりも環境に敏感で、一般的には開けた場所には現れません。

利用

マメヅタはその魅力的な姿が見られるものの、非常に普通に見かける植物であるため、山野草の栽培愛好家にはあまり求められません。ただ、栄養葉を手に取り、指の間で折って音を楽しむという遊びが山村の子供たちの中で行われていることもあります。

参考文献

• - 岩槻邦男編『日本の野生植物　シダ』（1992, 平凡社）
• - 光田重幸『しだの図鑑』（1986, 保育社）

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