マリエンブルク条約

マリエンブルク条約：北方戦争下の同盟

マリエンブルク条約は、1656年6月29日に締結された、ブランデンブルク＝プロイセンとスウェーデン帝国の間の同盟条約です。この条約は、当時北方戦争の最中にあった両国の関係を大きく左右するものでした。

条約締結の背景

1656年1月、スウェーデン王カール10世は、ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムを封臣とし、プロイセン公国を封土として与えるという内容のケーニヒスベルク条約を結びました。これは、スウェーデンがブランデンブルク＝プロイセンを勢力下に置くことを意味していました。

しかし、その後の戦況はスウェーデンにとって不利な状況へと変化していきます。そのため、カール10世はフリードリヒ・ヴィルヘルムを引き続き味方につなぎとめる必要に迫られました。そこで、彼はフリードリヒ・ヴィルヘルムに対して、より有利な条件を提示することにしたのです。

条約の内容と影響

マリエンブルク条約において、フリードリヒ・ヴィルヘルムはプロイセン公としてスウェーデンの臣下にあり続けるものの、大ポーランドの4県における世襲主権を獲得しました。これは、ブランデンブルク＝プロイセンにとって大きな利益であり、領土拡大の足がかりとなりました。その代わり、フリードリヒ・ヴィルヘルムはカール10世のポーランド戦役への参加を継続することになりました。

この同盟は、1656年7月のワルシャワの戦いにおいて勝利をもたらしましたが、その後の戦役は膠着状態に陥りました。フリードリヒ・ヴィルヘルムは、この状況を打開するため、スウェーデンとの関係を見直し、より有利な条件を求めるようになりました。

そして、1656年11月にはラビアウ条約が締結され、フリードリヒ・ヴィルヘルムはプロイセンの完全独立を勝ち取ることになりました。マリエンブルク条約は、結果的にブランデンブルク＝プロイセンの独立への道を切り開く一歩となったと言えるでしょう。

まとめ

マリエンブルク条約は、北方戦争という激動の時代において、ブランデンブルク＝プロイセンが自国の利益を追求し、独立を達成するための重要なターニングポイントとなりました。この条約を通じて、フリードリヒ・ヴィルヘルムは巧みな外交手腕を発揮し、プロイセンの地位を高めることに成功したのです。

参考文献:
Gerhard Oestreich (1877). "Friedrich Wilhelm (Kurfürst von Brandenburg)". Allgemeine Deutsche Biographie (ドイツ語). Vol. 7. Leipzig: Duncker & Humblot. pp. 480–497.
Frost, Robert I (2000). The Northern Wars. War, State and Society in Northeastern Europe 1558-1721. Harlow: Longman. ISBN 978-0-582-06429-4

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