ラビアウ条約

ラビアウ条約：プロイセン独立への道

ラビアウ条約は、1656年11月20日にブランデンブルク選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムとスウェーデン王カール10世の間で締結されました。この条約は、北方戦争の最中に、プロイセン公国の地位を大きく変える出来事でした。

背景：北方戦争とブランデンブルクの立場

1654年に勃発した北方戦争において、スウェーデンは当初優勢に戦況を進めていました。カール10世は、ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムに同盟を提案しますが、その条件はピラウとメーメルの割譲という厳しいものでした。そのため、フリードリヒ・ヴィルヘルムはこれを拒否し、ネーデルラント連邦共和国との防衛同盟を選択します。

しかし、スウェーデンの勢いは止まらず、プロイセンにも侵攻。フリードリヒ・ヴィルヘルムは1656年のケーニヒスベルク条約で、プロイセンをスウェーデンの封土とすることを余儀なくされます。さらに、ピラウとメーメルの割譲、資金援助などを約束させられました。

その後、スウェーデンのポーランドでの戦況が膠着状態に陥ると、カール10世はフリードリヒ・ヴィルヘルムとの関係を強化する必要に迫られます。マリエンブルク条約の締結により、フリードリヒ・ヴィルヘルムはスウェーデンを軍事的に支援することになります。

ラビアウ条約の内容：独立の承認と引き換え

スウェーデンが不利な状況に立たされる中、フリードリヒ・ヴィルヘルムは同盟の代償として、より有利な条件を求めました。それがラビアウ条約です。

この条約において、カール10世はフリードリヒ・ヴィルヘルムが治めるプロイセン公国とエルムラントの独立を承認しました。これにより、フリードリヒ・ヴィルヘルムはプロイセンの領主として、「プリンセプス・スンムス・エト・スウェレヌス」（最高位にして主権者）の地位を得ます。また、スウェーデンはプロイセンの港における関税徴収権を放棄し、その代償としてフリードリヒ・ヴィルヘルムは12万リクスダラーを支払うこととなりました。

さらに、秘密条項では、フリードリヒ・ヴィルヘルムがスウェーデンによるバルト海沿岸部への請求を支持することが定められました。

ラビアウ条約の結果：プロイセン王国への序章

ラビアウ条約締結後、フリードリヒ・ヴィルヘルムはカール10世のポーランド戦役への加勢を余儀なくされますが、その後、情勢の変化を見てポーランドから撤退し、プロイセンの守備を固めます。

その後、ポーランドがホーエンツォレルン家のプロイセンにおける主権を認める代わりに、フリードリヒ・ヴィルヘルムが反スウェーデン同盟に加入するという提案がなされ、ヴェーラウ条約、ブロンベルク条約へと繋がります。これにより、ブランデンブルクは反スウェーデン戦役を開始し、ハプスブルク家との連携を深めていきます。

そして、1701年、フリードリヒ1世はプロイセン王として戴冠し、プロイセン王国が成立。ラビアウ条約は、プロイセンが独立した王国へと発展していく上で、重要な一歩となったのです。

ラビアウ条約は、単なる領土のやり取りだけでなく、その後のヨーロッパの勢力図を大きく変える転換点となりました。フリードリヒ・ヴィルヘルムの外交手腕と、北方戦争という国際情勢が複雑に絡み合い、プロイセンの独立と王国への道を切り開いたのです。

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