マリオ・チポリーニ

マリオ・チポリーニ（Mario Cipollini、1967年3月22日 - ）は、イタリア出身の元プロロードレース選手です。1989年にプロデビューし、2005年に引退後、2008年に短期間現役復帰しました。ステージレースを中心に活躍し、プロ通算191勝を誇ります。

輝かしい戦績

チポリーニは、特にスプリント能力に優れ、数々の勝利を積み重ねました。

ジロ・デ・イタリア: 通算最多勝利記録保持者（42勝）
ツール・ド・フランス: 通算12勝
世界選手権: 優勝
ミラノ〜サンレモ: 優勝

これらの実績から、「ライオン・キング (Lion King)」「スーパーマリオ (Super Mario)」などの愛称で親しまれました。189cmの長身を生かしたダイナミックな走りは、多くのファンを魅了しました。

レーススタイル

トレイン戦術の先駆者

ロードレースにおけるスプリント戦術「トレイン」の生みの親として知られています。チームメイトがゴール前で隊列を組み、エーススプリンターを風よけにしながら加速させ、最後の200〜300mで飛び出すという戦法は、チポリーニの活躍によって広く普及しました。

「ゴールスプリントのための位置取りは30km手前から始まっている」という彼の言葉は、単なるスプリント力だけでなく、レース全体を見据えた戦略の重要性を示しています。

平地での圧倒的な強さ

スプリント力だけでなく、平坦路での巡航速度も非常に高く、1999年のツール・ド・フランスでは、195kmを平均時速50.355km/hで走破するという記録を打ち立てています。

山岳は苦手

一方で、山岳コースは苦手としており、ツール・ド・フランスでは山岳ステージ前にリタイアすることが多く、完走経験はありません。そのため、ポイント賞であるマイヨ・ヴェールとは縁がありませんでした。

人物像

ファッションリーダー

派手好きで知られ、ファッションメーカーがスポンサーにつくほどでした。数多くのスーツやネクタイ、靴を所有し、常にスタイリッシュな着こなしを見せていました。

セックスシンボル

サービス精神旺盛な性格とセクシーな魅力から、セックスシンボルとして扱われることもありました。裸にレースシューズだけを履いた広告写真が話題になるなど、その奔放なキャラクターは常に注目を集めました。

マルコ・パンターニとの友情

正反対の性格でありながら、マルコ・パンターニとは親友でした。パンターニの死に大きな衝撃を受け、葬儀後には「僕はこれからもたくさん勝ちたい。これから勝利するたび、僕が勝っただけでなく、彼も、マルコも、勝ったと感じるだろう」と語りました。

ドーピング問題

2013年、1998年のツール・ド・フランスで採取された血液サンプルから、EPO（エリスロポエチン）の使用が発覚しました。ただし、UCIはAFLDの再調査について「アンチドーピングの観点から有効な証拠として受け入れられない」との見解を示しています。

エピソード

超人的な加速力を引き出すため、トレインを組む選手にはトップレベルの実力が求められました。ヨハン・ムセウ、マリオ・シレア、ジョヴァンニ・ロンバルディなど、豪華なメンバーがチポリーニのアシストを務めました。
レースのプロローグでは、筋肉やシマウマ、虎などの模様をプリントした特注の全身タイツで登場し、観客を沸かせました。2004年のツール・ド・フランスでは、ゼブラ模様のタイツの脚の部分をスタート前にカットするというパフォーマンスも見せました。
自転車のフレームにハリウッド女優の下着姿をペイントしたり、ステムにポルノ女優の写真を貼り付けたりするなど、数々の奇抜な行為で物議を醸しました。
UCIやレース主催者からの罰金常連でしたが、その奔放なスタイルを貫きました。

引退後

引退後は、リクイガスのスポーツディレクターを務めたり、2008年に現役復帰を果たすなど、様々な活動を行いました。2009年からは、イタリアのコンチネンタルプロチームISD-NERIのチームスタッフとして、若手の育成に携わっています。

マリオ・チポリーニは、その圧倒的な実力と個性的なキャラクターで、ロードレース界に大きな足跡を残しました。

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