マリボル

マリボル：スロベニア北東部の歴史と文化の都

マリボルは、スロベニア北東部に位置する、同国第2の都市です。ドラヴァ川とポホリェ山地の織りなす美しい自然に恵まれ、オーストリアのグラーツからも比較的近い場所に位置しています。古くからの歴史と現代の活気が融合した、魅力あふれる都市です。

悠久の歴史：中世から現代へ

マリボルの歴史は古く、12世紀にはすでに城が築かれていました。13世紀には市場町として発展し、その後は神聖ローマ帝国やハプスブルク家など、様々な勢力の支配下に置かれます。マティアス・コルヴィヌス王率いる軍勢やオスマン帝国軍の包囲攻撃にも耐え抜き、幾多の歴史的出来事を経てきました。

19世紀以前はグラーツ＝セッカウ司教座に属していましたが、その後ラヴァント司教座、そしてマリボル司教座へと変遷し、2006年には大司教座へと昇格しています。第一次世界大戦前には、人口の8割がドイツ系住民で、都市の運営もドイツ語圏の文化が中心でした。しかし、第一次世界大戦後のユーゴスラビア王国成立後、スロベニア系住民の比率が高まり、都市の言語や文化も変化していきます。

第一次世界大戦終結後、マリボルの帰属をめぐってスロベニア人とドイツ系住民の間で緊張が高まりました。紛争や武力衝突を経て、最終的にはユーゴスラビア王国の一部となりました。第二次世界大戦中にはナチス・ドイツに占領され、スロベニア人への弾圧や強制収容などが行われました。戦後、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の一部となり、その後スロベニア独立を経て、現在に至っています。

マリボルの魅力：観光と文化

マリボルは、歴史的な建造物と自然の美しさを兼ね備えた都市です。マリボル大聖堂（12世紀、ゴシック様式）、ルネサンス様式の市庁舎、そして中世のマリボル城などは必見です。1961年創立のマリボル大学をはじめ、教育機関も充実しています。

また、マリボルはワインの街としても有名です。400年以上前から続く世界最古のワイン用ブドウ品種「スタラ・トルタ」も栽培されています。

スポーツも盛んで、NKマリボルというプロサッカークラブを擁し、UEFAチャンピオンズリーグにも出場した実績があります。毎年冬には、ポホリェ山地でアルペンスキー・ワールドカップが開催され、「ズラタ・リシツァ（黄金のキツネ）」と呼ばれています。夏にはレントと呼ばれる、音楽や演劇など様々なイベントが催されるフェスティバルも開催されます。

2000年には「アルプス山脈都市」に選ばれ、2012年には欧州文化首都にも選ばれました。

交通アクセス

マリボルへのアクセスは良好です。オーストリアとの国境に近いことから、グラーツ方面からの道路交通が整備されています。鉄道も発達しており、主要都市と結ばれています。マリボル空港も存在しますが、観光客向けのチャーター便が中心です。

人と交流

マリボル出身の著名人には、スロベニア大統領を務めたダニロ・テュルク氏や、サッカー選手のズラトコ・ザホヴィッチ氏などがいます。

マリボルは、クロアチア、オーストリア、イギリス、セルビアなど、世界各国の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

歴史と文化、自然と現代が調和したマリボルは、スロベニアを訪れる際にはぜひ訪れてみたい魅力的な都市です。

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