マリンカの戦い (2015年)

マリンカの戦い

2015年6月3日、ドンバス戦争の激戦地の一つであるウクライナのドネツィク州マリンカで、ウクライナ軍と自称ドネツク人民共和国（DPR）軍との間で激しい戦闘が発生しました。この戦闘は、一時的にDPR軍がマリンカを占拠しましたが、その後ウクライナ軍が奪還しました。

戦闘の経緯

ウクライナ軍の報告によると、戦闘は6月3日の午前3時頃に始まり、DPR軍が戦車と約1000人の兵士を投入して攻勢を仕掛けました。一方、DPR側は、この攻撃は6月2日の夜から6月3日の朝にかけてウクライナ軍がドネツィク、ホルリウカ、スタロミハイリフカ、エナキエヴェなどの地域に対して行った激しい砲撃への報復であると主張しました。DPRは、これらの砲撃によってマリンカ近郊のDPR支配地域で15人が死亡したと発表しました。

DPR軍の攻撃は、まず砲撃から始まり、日の出とともに歩兵と戦車による攻勢が行われました。戦闘は約12時間で一時的に停止しましたが、すぐに再開しました。戦闘は近隣のクラスノホリウカにも拡大し、双方の間で激しい砲火が交わされ、市街戦が繰り広げられました。戦闘の結果、反乱軍は町の一部を支配下に置きました。ウクライナの国会議員によると、マリンカの約70%がDPRの支配下に入ったとされています。

停戦と状況の変化

戦闘後、マリンカの状況は停戦によって一時的に安定しました。ウクライナ軍は、停戦によってマリンカがウクライナ軍の支配下に戻ったと発表しました。また、DPR国防大臣のウラジーミル・コノノフとウクライナ軍は、欧州安全保障協力機構（OSCE）に対し、マリンカがウクライナ領であることを認めました。6月4日、AP通信の記者がマリンカに短期間滞在し、掃討戦が行われているものの、町がウクライナの支配下にあることを確認しました。

戦闘による損害

マリンカの戦いでは、DPR軍側で20人が戦死、99人が負傷し、ウクライナ軍側では4人が戦死、39人が負傷しました。また、民間人にも被害が出ており、9人が死亡、30人以上が負傷しました。6月4日には、DPRがウクライナ軍の砲撃と迫撃砲がドネツィクを含むDPR支配下の複数の都市に直撃し、DPR軍兵士16人と民間人5人が死亡、DPR軍兵士86人と民間人38人が負傷したと発表しました。翌日、ウクライナ大統領は、DPR軍が追放され、ウクライナ軍がマリンカを奪還したと発表し、ロシア人1人を含む「妨害工作を行った」12人を捕虜にしたと発表しました。しかし、この発表は第三者機関によって確認されたものではありませんでした。

戦闘の影響

キーウ・ポストは、ウクライナ軍司令官の「もしDPR軍がマリンカとクラスノホリウカを占領すれば、ドネツィクの北と北西にあるピスキーとアウディーイウカがチョークポイントになるだろう」という発言を引用しました。戦闘に参加したウクライナ兵士は、キーウ・ポストに対し、この戦闘は彼らの能力を試すためのものだったと考えていると述べています。この見解は、ロシアの軍事アナリストであるパベル・フェルゲンハウエルも支持しました。

一方、DPRはマリンカへの攻撃を否定し、戦闘は反撃の際に発生したと主張しました。

マリンカの戦いは、ドンバス戦争における重要な戦闘の一つであり、その後の情勢に大きな影響を与えました。

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