マリンスノーの伝説

マリンスノーの伝説

『マリンスノーの伝説』は、松本零士の原作を基に藤川桂介が脚本を手掛けたテレビスペシャル用の長編アニメーションです。1980年に放送されたこの作品は、「海洋冒険ロマン」として位置付けられ、松本零士の代表作『銀河鉄道999』の世界観を継承しつつ、地球の未知なる海をテーマにしています。正式なタイトルは『夏休み子どもスペシャル 松本零士・長編オリジナルアニメ マリンスノーの伝説』であり、80年代のテレビアニメ界において重要な位置を占めています。

放送は1980年8月12日、テレビ朝日の「ゴールデンタイム・スペシャルアワー」の第一弾として行われました。全体の放送時間は2時間で、本編は94分に及びます。この作品は後にビクターからビデオソフト（VHS、β）とVHDディスクとしても流通されています。放送当日は、『夏休み人気アニメ大行進』と『笑アップ歌謡大作戦』の通常番組が休止され、特別枠での放送となりました。

あらすじ

物語の舞台は、人口増加に対処するための海洋都市計画が進行中の地球です。主人公の海野広は、沖博士や設計士の島岡ナミと共にこのプロジェクトに参加しています。しかし、ある日、工事現場で発生した爆発事故によってナミが姿を消します。彼女が言い残した「雪の降る故郷」に秘密があると感じた広は、ナミの故郷である指宿へ向かいます。

同時に、海洋科学局には神秘的な「海の民の女王イザナミ」から宣戦布告が届き、陸の民と海の民の対立が深まる中、物語は急展開を迎えます。広はナミの真実を探ると共に、海の民との衝突に巻き込まれていくことになります。

登場人物

• - 海野 広（声: 古谷徹）: 海洋都市建設に情熱を注ぐ青年で、ナミに恋心を抱く。
• - 島岡 ナミ（声: 麻上洋子）: 設計士であり、海の民の女王イザナミの娘。事故後に行方不明となる。
• - 沖博士（声: 永井一郎）: 海洋都市計画の所長で、広の理解者。
• - Dr.ゼルバート（声: 伊武雅之）: 海洋都市計画のスポンサーで、唯一海の民の存在を知る陸の民。
• - イザナミ（声: 藤田淑子）: 海の民の女王。陸の民に対抗するための戦いを挑む。

他にも、広の友人の山盛正やナミの育ての両親である島岡謙造とハルなど、個性的なキャラクターたちが物語を彩ります。

スタッフと音楽

制作は井上克洋が担当し、松本零士が原作・監督・総設定を手がけました。脚本は藤川桂介、作画監督は山下征二が務めています。音楽は小笠原寛が担当し、主題歌は「海に還る」と「ふたりの郷」で、白鳥英美子と白鳥澄夫のユニット「鴉鷺」が歌唱しています。

影響と関連作品

本作は、特に陸の民と海の民の対立を描いた点で評価されています。また、松本零士の他の作品のキャラクターも登場することが多く、彼のファンにとっては見逃せない作品の一つとなっています。さらに、人工海洋都市や知られざる海の冒険が描かれており、視聴者に深い印象を残すことでしょう。

このように、テレピ放送によって広がりを見せた『マリンスノーの伝説』は、単なる子供向けアニメにとどまらず、大人も楽しめるテーマ性を持った秀作として、多くの人々に愛され続けています。

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