マルクス主義学生同盟

日本マルクス主義学生同盟：激動の学生運動と分裂の系譜

1960年代、日本は安保闘争を背景に学生運動が活況を呈していました。その中で大きな勢力として台頭したのが、日本マルクス主義学生同盟（略称：マル学同）です。マル学同は、革命的共産主義者同盟全国委員会（革共同）系の学生組織として1960年4月に結成されました。当時の革共同は黒田寛一と本多延嘉を指導者とする組織でしたが、後に黒田派（革マル派）と本多派（中核派）へと分裂します。

マル学同の結成は、既存の学生組織への対抗意識から生まれたものでした。特に、当時勢力を拡大していたブント系の学生組織である社会主義学生同盟（社学同）に対抗するために設立された側面があります。革共同を「右翼的」、ブントを「極左的」と位置づけ、両者の中間層を取り込むことで、急速に勢力を伸ばしていきました。

安保闘争後、ブントが崩壊すると、多くの活動家がブントを見限ってマル学同に合流。その勢力はさらに拡大し、全学連（全日本学生自治会総連合）の主導権を握るまでになりました。1961年7月に行われた全学連第17回大会では、民青（民衆青年同盟）や社学同、革共同関西派、社青同（社会主義青年同盟）といった反マル学同勢力からなる「つるや連合」を、暴力的に排除。この事件は、後の内ゲバ激化の大きな要因の一つと指摘されています。マル学同は、この際にゲバルト棒を使用したとされ、日本の新左翼運動における暴力的な闘争の始まりを象徴する出来事となりました。

1963年2月、革共同全国委は黒田派（革マル派）と本多派（中核派）へと分裂します。この分裂はマル学同にも波及し、マル学同革マル派とマル学同中核派に分裂しました。ほとんどのマル学同の学生活動家は革マル派に、そして少数の学生が本多派につきました。後に本多派は「中核派」と呼ばれるようになり、それぞれ独立した勢力として活動するようになりました。

マル学同の内ゲバ激化の責任については、中核派と革マル派の間で長年にわたる論争の的となりました。中核派は革マル派の、革マル派は中核派の体質を内ゲバ激化の原因だと非難しあいました。中核派はマル学同が革マル派についたことを、革マル派は当時マル学同を指揮していた清水丈夫が中核派についたことを、それぞれ根拠として主張しました。

マル学同の歴史は、日本の学生運動史、ひいては日本の新左翼運動史において重要な位置を占めています。安保闘争から全学連支配、そして分裂と内ゲバという、激動の時代を象徴する存在として、その影響は現在にまで及んでいます。その後の各派の活動については、革マル派学生組織、中核派学生組織の項目を参照ください。彼らの活動は、日本の社会運動や政治思想に多大な影響を与えました。

参考文献

立花隆「中核vs革マル 上」（講談社、1983年）

関連項目

革命的共産主義者同盟
全日本学生自治会総連合（革マル派系）
マルクス主義学生同盟中核派（中核派系）
日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派（革マル派公式サイト）
中核派（前進）（中核派公式サイト）

もう一度検索