本多延嘉

本多延嘉：激動の時代を生きた新左翼活動家

本多延嘉（1934-1975）は、20世紀後半の日本を揺るがした新左翼運動の中核を担った人物であり、革命的共産主義者同盟全国委員会（中核派）の最高指導者として知られています。東京都生まれの本多は、父が全逓労働者であったことから労働運動に身近に触れながら成長しました。戦時中の疎開生活を経て、埼玉県立川越中学校（現・埼玉県立川越高等学校）に進学。中学生の頃から日本共産党系の青年組織に所属し、高校時代には共産党に入党しています。

早稲田大学に入学後も、学生運動に積極的に関与し、大学新聞の編集長を務めるなど、リーダーシップを発揮しました。しかし、1956年のハンガリー動乱を契機に、既存の日本共産党への批判を深め、次第に党から離れていきます。その後、黒田寛一率いる「弁証法研究会」に参加し、1958年には「革命的共産主義者同盟」結成に参加。革共同内部では、「革命的マルクス主義グループ（RMG）」を形成し、トロツキズムを超えた独自の立場を主張しました。

1959年には、黒田寛一によるスパイ事件（黒田・大川スパイ問題）が発覚。本多は黒田を擁護し、革共同から除名された黒田と共に革共同全国委員会を結成、黒田が議長、本多が書記長に就任しました。その後、黒田との間で理論的対立が深まり、1963年には黒田派が離脱、「日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派」（革マル派）を結成、本多派は「中核派」と呼ばれるようになります。

中核派書記長として、本多は精力的に活動しました。しかし、1969年には沖縄デー事件に関与したとして逮捕され、1971年に保釈。そして1975年、自宅で革マル派による襲撃を受け、41歳という若さで殺害されました。この事件は、新左翼運動の内ゲバの悲劇として記憶されています。

本多の思想は、既存の共産主義やトロツキズムへの批判を基盤としており、独自の革命理論を展開しました。彼の著作には、『勝利に向かっての試練』などがあり、革命運動への強い意志と信念が読み取れます。本多延嘉の生涯は、激動の時代を生き抜き、自らの信念を貫き通した新左翼活動家の物語として、日本の現代史において重要な一章を刻んでいます。彼の活動は、現在においても様々な議論を呼び起こし、歴史的考察の対象となっています。

本多の活動は、当時の学生運動や労働運動に大きな影響を与え、多くの支持者を集めましたが、同時に激しい内ゲバや暴力事件を引き起こした側面も否定できません。中核派と革マル派の対立は、日本の新左翼運動における大きな出来事の一つであり、その後の日本の政治や社会にも大きな影響を与えました。本多の思想や行動は、現代においても様々な解釈がなされており、その功罪について議論が続けられています。彼の生涯と活動は、現代社会を理解するための重要な鍵となるでしょう。

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