マルクス主義統一労働者党

マルクス主義統一労働者党（POUM）とは

マルクス主義統一労働者党（スペイン語: Partido Obrero de Unificación Marxista、カタルーニャ語: Partit Obrer d'Unificació Marxista、略称: POUM）は、かつてスペインに存在した共産主義政党です。第二共和国期に結成され、特にスペイン内戦中の活動で知られています。イギリスの作家ジョージ・オーウェルが民兵として参加し、その体験を『カタロニア讃歌』に著したことでも有名です。

結成の背景

1935年、POUMはアンドレウ・ニンとホアキン・マウリンによって結成されました。その目的は、ソビエト連邦を中心とするスターリン主義的な共産主義に対抗することでした。この反スターリン主義の立場は、左翼反対派のスペイン共産主義左翼と右翼反対派の労働者・農民ブロックが合同したという経緯に由来します。特にニンはレフ・トロツキーの影響を強く受け、彼の唱えた永続革命論に賛同していました。

党勢の拡大と人民戦線

POUMは、カタルーニャとヴァレンシアを中心に勢力を拡大し、スペイン共産党（カタルーニャではカタルーニャ統一社会党が活動）の党勢を凌ぐほどに成長しました。反スターリン主義の立場から人民戦線の政策を批判しつつも、人民戦線への参加を維持しました。人民戦線内閣への参入を通じて政策実現を試みましたが、中道派の抵抗により阻まれました。

ジョージ・オーウェルは、POUMの党員数を1936年12月に約7万人、1937年6月に約4万人と記述していますが、この数字の信憑性については留保しています。

スペイン共産党との対立

コミンテルンに従順なスペイン共産党と、反スターリン主義を掲げるPOUMとの間には、激しい対立がありました。共産党員によるPOUMへのトロツキズム批判や第五列疑惑は、支持者同士の闘争に発展し、1937年のバルセロナ・メーデーで顕著に現れました。

全国労働連盟（CNT）も人民戦線に参加していましたが、組合員の多くはPOUMに好意的でした。しかし、フアン・ガルシア・オリヴィエラや「ドゥルッティの友」など、POUMに批判的なCNTメンバーも存在しました。

内部対立と弾圧

POUM内部でも、グランディーソ・ムニス率いる左派が分離し、トロツキズムを支持する独自の地下組織を立ち上げるなど、弱体化が進みました。バルセロナ・メーデーの混乱の中で党指導者のニンが逮捕され、NKVDによって射殺されたとされ、POUMは「フランコの第五列」というレッテルを貼られ、活動を阻害されました。

最終的に、人民戦線政府を掌握したスペイン共産党によって非合法化され、活動を停止させられました。

民政移管後の分裂と終焉

フランコの死後、1977年にPOUMは合法化されましたが、これを機に分裂しました。一部は合法化に反発し、総選挙のボイコットを宣言し、即時の民主制復活を要求しました。他方は合法化の下で他の労働者政党と連合を組織して選挙に参加しましたが、議席を獲得できませんでした。

選挙での敗北後、POUMは弱小政党として存続しましたが、1978年には他の政党との合併に失敗し、翌年の選挙への出馬を辞退しました。各地の支部は他の政党と合同したり、地方の政治的連合体として活動するようになり、1980年には機関紙『ラ・バターリャ』が発行を終了し、政党としての統一性を失いました。

ただし、POUM自体は解党を宣言しておらず、ヴァレンシア支部は1981年頃まで活動していました。旧POUM党員は「アンドレウ・ニン財団」を設立し、POUMの活動を語り継いでいます。

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