マルグリット・ド・フランス (1523-1574)

マルグリット・ド・フランス：激動の時代を生きた王女

マルグリット・ド・フランス（1523年6月5日 - 1574年9月15日）は、フランス王フランソワ1世とクロード・ド・フランスの間に生まれた末娘です。彼女はサン＝ジェルマン＝アン＝レーで誕生し、ベリー女公となった後、サヴォイア公エマヌエーレ・フィリベルトの妃としてトリノで生涯を閉じました。イタリア名はマルゲリータ・ディ・フランチアとして知られています。

生涯

マルグリットは、父フランソワ1世の宮廷で、伯母マルグリット・ダングレームや義姉カトリーヌ・ド・メディシスと親交を深めました。彼女らは共に知識人のサークルを主宰し、マルグリットもその影響を受け、改革派に興味を持つようになります。しかし、深く傾倒することはなかったようです。

婚約と政略

幼少の頃、マルグリットはカンブレーの和約（1529年）後に、ハプスブルク家のマクシミリアン大公（後の神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世）と婚約しました。しかし、この結婚は実現しませんでした。その後、1538年末には、父フランソワ1世と皇帝カール5世の間で、カールの息子フィリップ（後のフェリペ2世）との縁談がまとまり婚約しますが、これもまた父王とカール5世の不和により解消されました。

マルグリットの結婚相手探しは難航し、父王も兄王アンリ2世も、彼女の身分に見合う相手を見つけるのに苦労しました。ようやく結婚が決まったのは1559年、カトー・カンブレジ条約に関連した政略結婚として、サヴォイア公国のエマヌエーレ・フィリベルトとの婚約でした。同時に、フェリペ2世と姪エリザベート王女の結婚も決定しています。

アンリ2世の死と結婚

1559年6月末から7月初旬にかけて、エリザベートの結婚とマルグリットの婚約を祝う宴が開催されました。しかし、祝宴中の6月30日、馬上槍試合の事故によりアンリ2世が右目を負傷し、その傷が原因で亡くなります。瀕死のアンリ2世は、マルグリットに対し、サヴォイア公国との同盟関係が白紙に戻されることを恐れ、すぐに挙式するよう命じました。式は7月9日から10日にかけての真夜中にひっそりと行われ、アンリ2世はその日に息を引き取りました。

サヴォイア公妃として

マルグリットは1562年に世継ぎとなる息子カルロ・エマヌエーレ1世を出産し、サヴォイア公国の未来を確かなものとしました。1574年には、甥のアンリ3世と交渉し、サヴィリアーノおよびピネローロをサヴォイア公国に割譲させるという功績も残しています。マルグリットはフランソワ1世の子供たちの中で最も長生きし、1574年に51歳でその生涯を終えました。

彼女の生涯は、政略結婚が当たり前の時代において、翻弄されながらも自身の役割を果たし、サヴォイア公国に貢献した王女の姿を伝えています。

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