マルコシアス

マルコシアス

マルコシアス（Marchosias）は、悪魔学において言及される悪魔の一体であり、マルコキアス（Marchocias）とも呼ばれます。

概要

マルコシアスは、『ゴエティア』や『悪魔の偽王国』といった著名なグリモワールにその名が記されています。これらの文献によれば、彼は地獄の大いなる侯爵であり、30の軍団を指揮する強大な力を持つとされています。『ゴエティア』では35番目、『悪魔の偽王国』では31番目にその名が列挙されています。名前の由来は、俗ラテン語で「侯爵」を意味する"marchio"であると考えられています。

『ゴエティア』によれば、マルコシアスはグリフォンの翼と蛇の尾を持つ狼の姿で現れるとされ、その口からは炎を吹き出すと描写されています。しかし、召喚者の命令に従い、人間の姿に変化することも可能です。彼は強力な戦士であると同時に、あらゆる疑問に対して正しい答えを示す賢明さも持ち合わせています。また、マルコシアスは取引を行う召喚者に対して非常に誠実であると伝えられています。

興味深い記述として、『ゴエティア』には、マルコシアスが元は主天使であり、かつて主人であったソロモン王に対して、1200年後に第七の玉座に戻りたいと願ったという逸話が記されています。『悪魔の偽王国』にも同様の記述が見られますが、彼がこの願望に囚われていることが示唆されているものの、ソロモン王に語ったという記述はありません。

日本のオカルトにおけるマルコシアス

日本のオカルト研究家である江口之隆は、伝統的な悪魔のイメージに独自の設定を加えて紹介しています。彼の著書『西洋魔物図鑑』においては、マルコシアスがグレモリーの騎獣であったという設定が加えられています。

参考文献

グスタフ・ディヴィッドスン著、吉永進一訳『天使事典』創元社、2004年 ISBN 4-422-20229-4
コラン・ド・プランシー著、床鍋剛彦訳『地獄の辞典』講談社、1990年 ISBN 4-06-201297-9
S.L. MacGregor Mathers and Aleister Crowley, The Lesser Key of Solomon(1904), p33 The Internet Sacred Text Archive 内の文書（英文）
Arthur Edward Waite, The Book of Ceremonial Magic(1913), The Internet Sacred Text Archive 内の文書（英文）
Johann Weyer, Pseudomonarchia Daemonum, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書（ラテン語および英文）
Goetia, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書（英文)

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