マルサン機甲師団シリーズ

マルサン機甲師団シリーズの概要

マルサン機甲師団シリーズ（マルサンきこうしだんシリーズ）は、日本のマルサン商店が1960年代に 披露したHOスケール戦車プラモデルのコレクションです。本シリーズは当初1964年から1965年にかけてリリースされ、全27点が展開されました。特筆すべきは、ドイツ機甲師団シリーズが14点、アメリカ機甲師団シリーズが13点というラインアップで構成されている点です。

本シリーズのモデルは、主に第二次世界大戦に登場した軍用車両や火砲が中心で、特にドイツのものは全て第二次大戦時の設計ですが、アメリカのものは半数以上が戦後の車両でした。製品はHOスケール（1/87）で設計されていましたが、初期の作品の中には1/87より小さいスケールのものも含まれていました。部品の分割方式はミニタンクシリーズとほぼ同じですが、一部の製品においてはモールドの完成度が異なるものも見られました。

初期の特徴とパッケージ

マルサン機甲師団シリーズは、その外装にも工夫が施されていました。当初発売された際には、透明なプラスチック製のケースに収められ、ケースの上には戦闘中の車両や火砲のイラストが描かれた紙がデザインされていました。このスタイルは他のプラモデルと一線を画すものであり、視覚的にも楽しませてくれました。また、1960年代後半に再発売された際には、珍しいブックマッチ形式のパッケージが使用され、パッケージの裏面には分解写真や組み立て説明が印刷されていました。

さらに、1967年に公開された映画『トブルク戦線』とのタイアップ商品も販売され、アメリカ機甲師団シリーズに属する9点が「トブルク戦線」という名称の下で一緒にリリースされました。

海外販売と企業との提携

マルサン機甲師団シリーズは、アメリカのUPC（Universal Powermaster Corporation）やEldon等の海外メーカーからも販売されました。UPCはイギリスのIMAや日本の他のプラモデルメーカーから製品を輸入し、シリーズの全点を自社ブランドで販売していました。パッケージは通常の2ピースタイプで、マルサンの初版デザインを大部分採用していましたが、いくつかの箱絵については細かな部分が異なることもありました。

Eldonは玩具メーカとして知られていますが、1968年より本シリーズのモデルをOEM供給を通じて取り扱い、独自の「マッチキット」という名称で販売していました。この場合、パッケージはマルサンの再発売版と似通ったブックマッチ形式ですが、組み立て説明書が別紙となるなど、一部仕様に違いが見られました。これにより、Eldonは本シリーズから24点の製品を市場に送り出しました。

富士ホビーでの再発売

1970年代には、元マルサン社員が設立した富士ホビーが本シリーズの再発売を行いました。この新しい会社は、主にスケールモデルの金型を活用し、1972年から1973年にかけてアメリカ軍とドイツ軍の車両を再発売していました。富士ホビーのパッケージはキャラメル箱形式で、デザインはシンプルなものとなっていました。

製品一覧と今後の展望

マルサン機甲師団シリーズの製品は、国産プラモデルの歴史の中で重要な位置を占めており、その多くは海外の製品を参考にしたアイテムで構成されています。今後も、当シリーズの魅力や多様なリリース形式を通じて、新しい世代の模型ファンに受け継がれていくことでしょう。

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