マルセイユ版タロット

マルセイユ版タロットの概要

マルセイユ版タロット（Tarot de Marseille）は、主に16世紀から18世紀のヨーロッパで広く流通したタロットカードの一種です。これらのカードは、伝統的な絵柄を持つもので、「マルセイユ版」や「マルセイユ系」とも呼ばれ、特に「グリモー版」として知られることが一般的です。タロットカードのデザインや象徴についての関心が高まる中で、マルセイユ版は重要な位置を占めています。

歴史的背景

タロットカードの起源は15世紀のイタリアに遡り、当初は主にカードゲームに用いられていました。これが後に占いや神秘的な意味合いを持つようになる過程は、歴史の中で重要です。フランスでは、1482年に「プレイングカード」に言及する文献が登場し、1534年にはフランソワ・ラブレーの著作に「tarau」という形でタロットに関する記述が見られます。16世紀末にはカラカードの製造が盛んになり、製造技術も地中海沿岸地域で発展していきました。

マルセイユ版タロットの出現

最初に確認されるマルセイユ版タロットのデザインは、17世紀後半のパリにおいてジャン・ノブレによって制作されました。このカードは、後のタロットデザインの基礎となり、様々なバリエーションが生み出される契機となります。特に20世紀には、ニコラ・コンヴェルのタロットが復刻され、「マルセイユのタロット」として名を馳せるようになりました。

オカルティズムの影響

1854年、エリファス・レヴィが『高等魔術の教理と祭儀』を出版し、これによってタロットの神秘的解釈が広まりました。この思想は19世紀から20世紀にかけての魔術復興を象徴し、タロット解釈にも影響を与えました。その後、アーサー・エドワード・ウェイトが1910年に発表した「ウェイト版タロット」が登場し、神秘的解釈が主流となりました。

マルセイユ版タロットの特徴

マルセイユ版タロットは、木版画風のラフな絵柄が特徴です。現在一般的に使用されるウェイト版とは大アルカナの配列順が異なり、特筆すべき点として、カード番号8が「正義」、カード番号11が「力」となっています。これに対し、ウェイト版では逆の配列になっています。

代表的なマルセイユ版タロット

多様なバリエーションが存在するマルセイユ版には、代表的なものがいくつかあります。たとえば、1848年に創業したフランスのカルタ社が制作した「グリモー版」や、1751年のクラウド・バーデルによる復刻版、1650年頃のジャック・ヴィエヴィルによるデザインなど、さまざまなスタイルが存在します。また、1760年にニコラ・コンヴェルが作成したデッキも広く知られています。

結論

マルセイユ版タロットは、その歴史的背景や文化的影響を持ち、新たな解釈やデザインが常に生まれる豊かな伝統を有しています。今日でも多くの人々に愛され、様々な研究や実践において重要な役割を果たしています。

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