マルタ (オペラ)

オペラ『マルタ』について

『マルタ』（原題：Martha oder Der Markt zu Richmond）は、フリードリヒ・フォン・フロトーが作曲した4幕構成のオペラです。ジュール＝アンリ・ヴェルノワ・ド・サン＝ジョルジュのバレエ「貴婦人アンリエット」を基に、ヴィルヘルム・フリードリヒがドイツ語の台本を作成しました。1847年11月25日にウィーンのケルントナートール宮廷劇場で初演され、以来、世界中で愛される作品となっています。

物語の概要

物語の舞台は18世紀初頭のイギリス。アン女王の女官であるレディ・ハリエットは、退屈な宮廷生活に嫌気がさしていました。そこで、侍女のナンシーとともに、リッチモンドの奉公人市場へ身分を隠して出かけることにします。そこで出会った若い農場主プランケットと、彼の義弟ライオネルとの間で、恋の騒動が繰り広げられます。

登場人物

レディ・ハリエット・ダーラム（マルタ）：アン女王の女官（ソプラノ）
ナンシー（ユリア）：レディ・ハリエットの侍女（メゾソプラノ）
プランケット：若い農場主（バス / バリトン）
ライオネル：プランケットの義弟（テノール）
サー・トリスタン・ミクルフォード（ボブ）：レディ・ハリエットの従兄弟（バス / バリトン）

あらすじ

第1幕

宮廷生活に退屈していたレディ・ハリエットは、侍女ナンシーとともに、身分を隠してリッチモンドの奉公人市場へ。そこで、マルタとユリアと名乗り、農場主のプランケットとライオネルに女中として雇われることになります。しかし、二人は農作業はおろか、糸紡ぎさえもできません。

第2幕

農作業ができないマルタとユリアに、プランケットとライオネルは呆れながらも、親切に仕事を教えようとします。その中で、ライオネルはマルタの美しさと歌声に心を奪われ、結婚を申し込むほどに惹かれていきます。しかし、マルタはライオネルの気持ちを受け入れつつも、それを拒絶。夜になると、従兄弟トリスタン卿が馬車で二人を迎えに来て、屋敷へと連れ戻します。

第3幕

マルタのことが忘れられないライオネルは、レディ・ハリエットと再会。しかし、ハリエットはライオネルのことを狂人だと言って逮捕させてしまいます。その後、ハリエットが身分を明かしたことで、ライオネルは自分が騙されていたことを知り、深く嘆き悲しみます。ライオネルが身分を証明するために渡した指輪が、彼がダービー伯爵の遺児であることを示し、彼の身分が明らかになります。

第4幕

ライオネルの真実を知ったハリエットは、彼に謝罪し、自分の気持ちを告白します。しかし、ライオネルはまだハリエットのことを許すことができません。そこで、プランケットとナンシーが、二人が最初に出会ったリッチモンドの市場を再現。そこで二人は再び出会い、誤解が解け、愛を確かめ合うのでした。

音楽

オペラ『マルタ』は、美しい旋律と親しみやすい音楽が特徴です。特に、以下の曲は有名です。

「まじめで働き者の娘さん」：合唱曲。日本では「爺さん酔っぱらって酒のんでころんだ」という歌詞で知られています。
「これはどういうことなんだろう？」：紡ぎ車の四重唱。
「夏の名残のばら」：マルタが歌うアリアで、アイルランド民謡として知られています。
「君たちに尋ねさせてくれ」：プランケットが歌う黒ビールの歌。
「夢のように」：ライオネルが歌うアリア。「マッパリ」の名でも知られています。

オペラ『マルタ』は、コミカルな展開とロマンティックな音楽が魅力の作品です。一度聴いたら忘れられない美しいメロディーは、多くの人々に愛され続けています。

日本での上演

日本では、ウィーン・フォルクスオーパーが2008年に日本公演でこのオペラを上演しました。

参考資料

* マルタの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト

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