マルタの鷹協会

マルタの鷹協会：ハードボイルドを愛する者たちの集い

マルタの鷹協会は、ダシール・ハメットの名作『マルタの鷹』にちなんで名付けられた、ハードボイルド小説愛好家のための組織です。1981年、アメリカ合衆国サンフランシスコで設立されましたが、現在は日本支部のみが活動を続けています。

協会の設立と初期活動

協会の設立は、1981年5月20日にさかのぼります。歴史文学者、伝記作家、そして私立探偵といった多彩な顔ぶれがサンフランシスコに集結し、ハメットゆかりのレストランで最初の会合を開催しました。設立メンバーには、ハメット研究の第一人者やパルプ雑誌作家なども含まれ、ハードボイルドに対する深い愛情と知見を共有する人々の集まりであったことが伺えます。

設立当初はアメリカ国内に複数の支部を展開し、サンフランシスコ、ニューヨーク、日本に会員がいました。活発な活動が展開され、会員数も増加していきました。ニューヨーク支部では、ハメット作品を巡るツアーを開催するなど、地域に根ざした活動にも力を入れていました。サンフランシスコ支部では、著名な推理作家やハメット関係者らが参加する会合が繰り返し開催され、活気あふれるコミュニティが形成されていました。

しかし、1980年代後半には、ニューヨーク支部、サンフランシスコ支部の活動は次第に停滞し、最終的に活動を停止しました。

日本支部：活動を続ける孤高の存在

そのような中で、日本支部は活動を継続し、現在に至っています。翻訳家や書評家である木村二郎氏によって設立された日本支部は、会報『マルタの鷹フライヤー』の発行や、優れたハードボイルド作品を表彰するファルコン賞の授与など、精力的な活動を展開してきました。

会報『マルタの鷹フライヤー』は、会員相互の交流を深めるだけでなく、ハードボイルドに関する貴重な情報を提供する役割を果たしてきました。2006年には、1982年から2006年までの会報をまとめた大判の書籍を発行し、その歴史と活動を記録として残しています。

ファルコン賞：日本のハードボイルドシーンを彩る

ファルコン賞は、1983年から毎年（一部、該当作なしの年あり）、日本で出版された優れたハードボイルド作品に授与される賞です。受賞作品には、ロバート・B・パーカー、レイモンド・チャンドラー、ジェイムズ・M・ケインといった巨匠の作品から、現代のハードボイルド作家による作品まで、幅広い作品が選出されてきました。賞の選考は、日本支部会員によって行われ、日本のハードボイルドシーンを牽引する存在となっています。

現在

現在、日本支部は会員数約90名で、会報の発行、ファルコン賞の授与、東京と大阪での会合開催などを通して、日本のハードボイルド文化の発展に貢献しています。単なる愛好家集団にとどまらず、日本のハードボイルドシーンを支える重要な役割を担っていると言えるでしょう。マルタの鷹協会日本支部は、今後もハードボイルド小説の魅力を伝え、その文化を育んでいく活動に邁進していくことでしょう。

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