マルダー歩兵戦闘車

マルダー歩兵戦闘車

マルダー歩兵戦闘車（Schützenpanzer Marder）は、ドイツ連邦軍の重要な陸上戦力として位置づけられる装甲車両です。この車両は、その名の由来であるドイツ語で「テン」を意味する言葉からもわかるように、高い機動性と戦闘能力を兼ね備えています。1971年から運用が始まり、フランスのAMX-10P歩兵戦闘車と並んで、初めて中口径機関砲を主武装とする歩兵戦闘車の一つとなりました。このトレンドは後にソビエト連邦軍にも影響を与え、BMP-1歩兵戦闘車が配備されることになります。

歴史と進化

マルダーは、改良型としてマルダー1A1やマルダー1A2が順次登場してきましたが、現在主流なのはさらなる進化を遂げたマルダー1A3とマルダー1A5です。近年では2011年に最新型であるマルダー1A5A1が導入され、戦闘能力の向上が図られています。また、マルダーから派生した多様なモデルも存在し、操縦士訓練用車両や、伝統的な砲塔の代わりに地対空ミサイルを搭載した対空車両が開発されています。特にVTS-1と呼ばれる試作車両は、マルダーの車体に自動装填装置を持つ無人オーバーヘッド砲塔を取り付けたもので、スウェーデンでも同様の研究が行われました。

これらの発展を経て、マルダーの後継としてマルダー2が最初に計画されました。しかしながら、このプロジェクトは中止され、代替としてプーマが開発されることになりました。しかし、プーマが実運用で不具合が生じたため、2022年にはその調達が中止されました。その結果、マルダーの後継問題は現在も不透明な状況にあります。

現在の運用状況

マルダーは西ドイツ時代には390両が製造され、海外への輸出も行われました。チリやインドネシア、ヨルダン、そして最近ではウクライナなど、複数の国がこの車両を導入しています。合計で、チリには280両、インドネシアには50両、ヨルダンには75両、ウクライナにも60両が配備されています。

VTS-1とその特徴

VTS-1（Versuchsträger Schützenpanzer）は、技術実証型としてマルダーの車体を用いて開発された試作車両です。特にL7A3 105mm戦車砲を搭載し、限定旋回式の砲塔を特徴としています。研究は1976年に開始され、ティッセン・ヘンシェル社で1978年に1両が製造されました。この車両は左右各60°の旋回が可能で、仰俯角も調整できるため、柔軟な火力支援を実現しています。

登場作品

マルダーは多くのメディアにも登場しており、ゲーム『FUTURE WAR 198X年』では、地対空ミサイルを装備したバリエーションが描かれています。このことからも、マルダーが持つ歴史的重要性と多用途性が示されています。

まとめ

マルダー歩兵戦闘車は、時代を超えて戦闘力と耐久性を誇り、多くの軍に採用されています。今後の兵器開発においても、その実績や技術が活かされていくことでしょう。

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