マルチマッチングBB

マルチマッチングBB：オンライン対戦ゲーム黎明期の先駆者

サービス概要

2001年6月、KDDIよりサービス開始された「マルチマッチング」は、電話回線を利用した通信対戦ゲームネットワークでした。その後、2003年9月にはブロードバンド回線に対応した「マルチマッチングBB」へと進化。電話回線版はサービス終了し、マルチマッチングBBのみが提供されるようになりました。月額定額制を採用し、対応ゲームソフトを自由に楽しむことができました。KDDIのau one netユーザーは割引料金で契約可能でした。カプコンとSNKプレイモア（現SNK）のゲームが中心でしたが、2011年6月30日に全サービスが終了しました。

サービス開始の背景

2000年8月、カプコンとKDDIは共同でマルチマッチングBBの概要を発表しました。電話回線とブロードバンド回線のユーザーが同じゲームで対戦できる点が大きな特徴でした。従来の従量課金制に加え、定額料金制の導入を発表。カプコンの対応タイトルはコンテンツ料金が無料となり、月額接続料金のみでプレイ可能にするという画期的な試みでした。これは、2000年3月に開始された「マッチングサービス」を進化させたもので、1対1対戦だけでなく、レースゲームなどのマルチプレイにも対応していました。

対応ゲームソフト

マルチマッチングBBは、数多くのタイトルに対応していました。カプコンからは『バイオハザード アウトブレイク』シリーズ、『モンスターハンター』シリーズ、『機動戦士ガンダム』シリーズなどの人気タイトルが多数参加。SNKプレイモアからは『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズ、『サムライスピリッツ』シリーズ、『餓狼伝説』シリーズなど、格闘ゲームファンに人気のタイトルが提供されました。他社からもいくつかのタイトルが提供され、バラエティに富んだラインナップが特徴でした。

サービスの成功と課題

特に『モンスターハンター』シリーズの大ヒットにより、2003年3月末時点では会員数が6万人を突破するなど、大きな成功を収めました。KDDIは高いネットワーク接続率を誇っていたと報告しています。しかし、Game*Sparkの記事によると、当時オンラインゲームはまだ普及しておらず、『バイオハザード アウトブレイク』のような協力プレイを望むユーザーは、十分に満足できなかった可能性も指摘されています。これは、サービス開始時期がオンラインゲーム黎明期であったことを示しており、時代を先取りしすぎた側面もあったと言えるでしょう。

技術的貢献

マルチマッチングBBで培われた技術は、後にPlayStation 3/Xbox 360版『ストリートファイターIV』のオンライン対戦機能に活かされました。これは、マルチマッチングBBが、後のオンライン対戦ゲームの発展に貢献したことを示す重要な事実です。

サービス終了

2010年9月20日にはSNKプレイモアのゲームサービスが終了し、その後、2011年6月30日にマルチマッチングBBは全サービスを終了しました。短命に終わったサービスではありましたが、オンライン対戦ゲーム黎明期において、重要な役割を果たしたサービスであったことは間違いありません。

結論

マルチマッチングBBは、オンラインゲームの普及がまだ進んでいなかった時代に、先駆的な試みとして多くのユーザーにプレイの機会を提供しました。その技術的貢献や、時代を先取りしすぎた点などから、日本のオンラインゲームの歴史における重要な1ページを刻んだサービスと言えるでしょう。

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