マルティーヌ・キャロル

マルティーヌ・キャロル：フランス映画界のアイコン

マルティーヌ・キャロル（Martine Carol）は、1920年5月16日、フランスのヴァル＝ド＝マルヌ県サン＝マンデで誕生しました。本名はマリー＝ルイーズ・ジャンヌ・ニコル・ムーラー（Marie-Louise Jeanne Nicolle Mourer）で、彼女の名前は後にフランソワ・ペリエによって名付けられました。キャロルは、20世紀中頃のフランス映画界の顔として多くの作品に出演し、特に1950年代にはセックスシンボルとしても知られる存在となりました。

初期のキャリア

キャロルの芸能の道は、女優ミシュリーヌ・プレールやアンドレ・リュゲとの出会いから始まりました。リュゲの助言により、ロベール・マニュエルやルネ・シモンといった演劇界の著名な人物から演技の訓練を受け、舞台女優としてのキャリアを積みます。彼女は、マリーズ・アルレーの芸名で初めて舞台に立ち、1940年代には多くの映画に出演しました。

特に1941年からの出演作『六人の最後の者』や、『火の接吻』などでは、彼女の存在感が光りましたが、当時は未だ広く知られることはありませんでした。しかし、1943年以降、彼女はマルティーヌ・キャロルという名前で活動を続けるようになり、これが彼女のキャリアを加速させるきっかけとなります。

中期の成功

1951年にはセシル・サン＝ローランの小説『Caroline chérie』の映画化作品にヒロインとして出演し、彼女の名声は一段と高まりました。この作品では、革命前夜の女性像を見事に表現し、彼女のイメージを印象付けました。また、1954年には映画監督クリスチャン＝ジャックと結婚し、彼との共同作品で更なる成功を収めます。この頃、彼女は『ボルジア家の毒薬』や『女優ナナ』など数々の名作に出演し、1950年代のフランス映画界における重要な存在となります。

後期の苦悩と引退

1960年代にはブリジット・バルドーの台頭に伴い、キャロルの名声は陰りを見せ始めます。映画界のトレンドが変化する中、キャロルは自身のスタイルを保つことに苦しみ、次第にキャリアが停滞していきました。彼女は薬物に依存するようになり、その影響で健康を害します。1967年2月6日、モンテカルロのホテルで心筋梗塞により亡くなると、様々な憶測が広まりました。

彼女はパリのペール・ラシェーズ墓地に埋葬されましたが、そこもやがて荒らされ、最終的にカンヌのグラン・ジャス墓地に移葬されました。キャロルの人生は波乱に満ちたものであり、その過程の中で彼女は4度の結婚を経験しました。

私生活とエピソード

キャロルの私生活には多くの注目を集めるエピソードが存在します。彼女は1947年、恋人に裏切られ酒に酔った末にセーヌ川に飛び込むも、一人のタクシー運転手に救われるという経験をしています。また、彼女はギャングに誘拐されたこともありますが、短期間で解放されています。

一時は、映画界の華やかな舞台で輝いていたマルティーヌ・キャロルですが、私生活の影の部分も抱え、多くのひとに影響を与える存在であったことは間違いありません。彼女の映画やエピソードは、今もなお多くの人に記憶されています。

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