マルデン島

マルデン島：太平洋に浮かぶ謎と歴史の島

マルデン島は、太平洋の真ん中に位置するキリバス共和国に属する無人島です。かつては「インディペンデンス島」とも呼ばれていました。その面積は約39.3平方キロメートルで、平坦で不毛な地形が特徴です。

この島は、古代の遺跡、かつて豊富に存在したグアノ、そしてイギリス初の水爆実験場として利用された過去を持ちます。現在は、多くの海鳥にとって重要な繁殖地となっており、マルデン島自然保護区として保護されています。

地理

マルデン島は、赤道の南約448km、ハワイのホノルルの南約2,834kmに位置し、南米大陸からは7,000km以上も離れています。最も近い陸地はスターバック島で、約204km南西に位置します。有人島としては、ペンリン島が約450km南西に位置しています。

島の形は正三角形に近く、最も広い部分の幅は約8kmです。中央部には広くて浅い礁湖があり、多くの小島が点在しています。礁湖は海とつながっており、水は海水です。島の最高地点は海抜10m以下で、内陸部はさらに低くなっています。

植物相と動物相

マルデン島の植物相は限られており、16種類の維管束植物が確認されています。島の大部分は、イリマの低木や雑草に覆われています。かつてはトゲミウドノキの茂みがありましたが、現在ではほとんど残っていません。ココヤシも植えられましたが、根付くことはありませんでした。

マルデン島は、アオツラカツオドリ、アカアシカツオドリ、ネッタイチョウ、オオグンカンドリなど、多くの海鳥の重要な繁殖地です。また、ハリモモチュウシャクなどの渡り鳥の越冬地でもあります。

島には、オガサワラヤモリとボウトンヘビメトカゲの2種類のトカゲが生息しています。かつてグアノ採掘が行われていた頃には、猫、豚、羊、ハツカネズミが持ち込まれましたが、豚と羊は絶滅し、猫とハツカネズミは現在も生息しています。

歴史

マルデン島は1825年にジョージ・バイロンによって発見されました。バイロンは、イギリス海軍の軍人であり、HMSブロンドの船長でした。島は、HMSブロンドの航海長であったチャールズ・ロバート・マルデン大尉にちなんで名付けられました。

島には、先史時代の遺跡が残っています。これらの遺跡は、ポリネシア人によって築かれたと考えられています。遺跡には、祭祀用の壇や住宅跡、墓の跡が含まれています。

19世紀には、アメリカの捕鯨船が頻繁にマルデン島を訪れました。1856年以降は、アメリカとイギリスのグアノ採掘業者が島の利権を主張し、1927年までグアノの採掘が行われました。

1956年、イギリス政府はマルデン島を水爆実験場として選びました。1957年には、島で核実験が行われました。現在でもその滑走路跡が残っています。

現在のマルデン島

マルデン島は、1979年にキリバス共和国の一部となりました。アメリカ政府は、かつてのグアノ島法を根拠に領有権を主張していましたが、キリバスの独立に伴い、1983年にアメリカはキリバスによる領有を認めました。

マルデン島周辺海域は、マグロの豊富な漁場として知られています。島自体は自然保護区として保護されており、海鳥の繁殖地として重要な役割を果たしています。1975年5月29日に、マルデン島自然保護区(英語: Malden Island Wildlife Sanctuary)に公式指定されました。

マルデン島は、その豊かな自然と歴史を持つ、太平洋の秘境と言えるでしょう。

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