マルヴァオンの戦い:七年戦争における英葡守備軍の勝利
マルヴァオンの戦いは、
七年戦争中にスペインがポルトガルへ侵攻した際、
1762年11月9日から10日にかけて行われた戦闘です。スペインの大軍がマルヴァオン城を攻撃しましたが、トマス・ブラウン大尉率いるイギリスとポルトガルの守備軍によって撃退されました。
背景
1762年の夏、スペインはポルトガル全土を占領しようと二度にわたり侵攻を試みましたが、いずれも失敗に終わりました。しかし、フランスから1万の軍勢と装備の援助を受けたスペインは、三度目の侵攻を計画します。一方、ポルトガルにも
ジョン・バーゴインとジョージ・タウンゼンド率いる8千のイギリス援軍が到着していました。
スペインによる三度目の侵攻は、フランスとイギリスの和平交渉という背景がありました。通常、戦闘は春に開始されることが多いのに対し、スペインは交渉を有利に進めるため、晩秋に奇襲を計画したのです。しかし、ポルトガルの司令官シャウムブルク=リッペ伯ヴィルヘルムは、主要な駐留軍に増援を送る対策を講じていました。
スペイン軍は部隊を分散させ、それぞれが異なる目標を攻撃しました。マルヴァオンはその一つであり、スペインはここを占領する目論見でした。
戦闘
マルヴァオン城は、テージョ川近くのセーラ・デ・サン・マメデにある花崗岩の岩角の上に位置し、スペインにとってテージョ川の渡河を容易にするための戦略的な要所でした。城は、トマス・ブラウン大尉が率いる500人の守備隊(ビゴー・アームストロング大佐の第83歩兵連隊とポルトガルの分遣隊、民兵)によって守られており、数門の大砲が配備されていました。
スペイン軍は4千から5千の大軍であったため、城下の市民は恐慌状態に陥り降伏を要求しましたが、ブラウン大尉は長期の包囲戦になると見越してこれを拒否しました。要塞の優位性にもかかわらず、スペイン軍が直接攻撃を仕掛けてきたことにブラウン大尉は驚いたとされます。
スペイン軍がマルヴァオン南東部の緩やかな傾斜から侵入を試みると、ブラウン大尉は
城塞からその方角へ援軍を送り、
マスケット銃による射撃と砲撃を開始しました。激しい砲火に晒された上、攻城用の梯子が短すぎて城壁に届かず、スペイン軍は大きな損害を出しました。奇襲の失敗と城の堅固な守りを確認したスペインの指揮官は、包囲戦の準備ができていないことを理由に、翌日撤退しました。
その後
一方、スペインの別の部隊はオーゲルワの小さな要塞を攻撃しましたが、そこのポルトガル駐留軍も攻撃を予測しており、反撃に出てスペイン軍を撃退しました。
11月19日、マルヴァオンとオーゲルワの駐留軍は合流し、スペイン領のラ・コドセラを急襲して占領しました。各地の小さな町での抵抗は、スペインにアレンテージョを攻略するには決定的な勝利が必要であることを確信させました。しかし、冬営が近づき、補給も不足していた上、スペイン軍は疫病で大きな損害を出していたため、大規模な作戦行動は困難でした。
結局、スペイン軍は11月15日に撤退を開始し、22日に停戦を要求しました。
結論
マルヴァオンの戦いは、数的には圧倒的に有利なスペイン軍に対し、イギリスとポルトガルの守備軍が勇敢に抵抗し、勝利を収めた戦いでした。この戦いは、
七年戦争におけるポルトガル防衛の一環として重要な意味を持ち、スペインの侵攻を食い止める上で貢献しました。
参考文献
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* Sales, Ernesto Augusto Pereira (1937). O conde de Lippe em Portugal Volume 2 of Publicações da Comissão de História Militar Author. Vila Nova de Famalicão.