マロンコロン

マロンコロン：小樽発、愛され続けるロングセラー

マロンコロンは、北海道小樽市の老舗菓子店「あまとう」が製造・販売する、長年愛され続けている洋菓子です。3枚重ねのサブレーに、アーモンドやチーズなどの様々な具材を挟み、チョコレートで丁寧にコーティングした、あまとうオリジナルの商品です。そのユニークな製法と、どこか懐かしい味わいが、多くの人々を魅了し続けています。

歴史

あまとうは、1929年に小樽で創業。当初は、ぱんじゅうから寿司まで提供する食堂でした。1950年代に洋菓子店へと転換し、二代目社長の柴田治郎氏が、看板商品を生み出すべく全国を巡り、研究を重ねました。その結果、3枚のクッキーを重ね、間にジャムを挟み、チョコレートでコーティングするという、当時としては斬新なアイデアが生まれました。

1960年に誕生した当初は「ジャムサンド」というシンプルな名前でしたが、その形状が栗（マロン）に似ており、丸くて可愛らしいイメージから、柴田社長によって「マロンコロン」と名付けられました。面白いことに、名前には「マロン」と入っていますが、栗は使用されていません。

2007年には札幌に進出し、丸井今井札幌本店の「きたキッチン」に販売コーナーを設置。2008年には新千歳空港にもブースを設け、現在では、JR新札幌駅やオンラインストアでも購入可能です。

特徴

マロンコロンの最大の特徴は、3枚重ねのサブレーが生み出す、独特の食感です。直径約6.5センチ、厚さ約1.5センチと、ボリューム感も満点です。これは、「美味しいものを、おなかいっぱい食べてほしい」という、創業者の想いの表れだと言われています。

チーズやバターをふんだんに使用したサブレーは、香ばしく、濃厚で甘い味わい。サブレーの間にはあえて何も挟まず、軽い食感を保っています。材料にもこだわり、北海道産の鶏卵と無塩発酵バター、スイス産のチョコレートを使用。ローストしたアーモンドの風味も、アクセントになっています。

日持ちが良い点も、お土産として人気の理由の一つです。詰め合わせだけでなく、1個ずつ購入できるため、大人数への配布にも便利です。

製造へのこだわり

マロンコロンは、その製造方法にも特徴があります。3枚重ねるためには、中央のクッキーの両面を平らにする必要がありますが、焼いたクッキーは表面が丸みを帯びてしまいます。そこで、職人が一つ一つ手作業で表面を削り、平らにしているのです。この手作業による丁寧な工程が、マロンコロン独特の食感を生み出しています。

かつては、機械化による大量生産も検討されましたが、試作品は手作りのものとは全く異なる出来となり、機械化は断念されました。2007年には、マロンコロン専用の工場が建設され、生産能力は向上しましたが、現在も手作りの製法が守られています。

バリエーション

マロンコロンは、時代に合わせて変化を続けています。販売当初は甘いものが好まれていましたが、健康志向の高まりを受け、1987年に具材をカカオ、チーズ、ウォナッツ、アーモンドに変更。甘さとカロリーを抑えました。

2007年には、初期の味を再現した「マロンコロン クラシック」が期間限定で復刻。現在では、スティックタイプの「スティックマロンコロン」や、紅茶味の「紅茶マロンコロン」など、様々なバリエーションが存在します。2022年には、ポケモンとのコラボ商品「ポケモンマロンコロン」も発売され、話題を呼びました。

反響

マロンコロンは、1980年代後半のバブル景気とともに、売り上げを伸ばしました。小樽の観光地化が進むにつれて、その名も全国に広まり、各地の百貨店で開催される北海道物産展でも人気を集めています。

2007年には、「きたキッチン」で年間販売数1位を記録。丸井今井の担当者は、その理由を「小樽でしか買えなかった商品が札幌でも購入できるようになったこと」「味だけでなく、価格や包装の面でも、顧客の要望に応えていること」と分析しています。

小樽出身の著名人にも愛されており、香山リカ氏は「本州の人々には美味と喜ばれることから、土産菓子として重宝している」と語っています。藤澤ノリマサ氏も、その美味しさを絶賛し、キャンペーンツアーに持参することもあるそうです。

テーマ曲

2007年には、小樽在住のシンガーソングライター、柿本七恵氏が、マロンコロンへの想いを込めた楽曲「ほんと罪だわ マロンコロン」を作詞作曲しました。この曲は、テレビCMにも使用され、地元小樽だけでなく、札幌でも親しまれています。

マロンコロンは、小樽の歴史と文化を象徴する銘菓として、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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