土産菓子

土産菓子とは

土産菓子とは、旅行先や観光地などで購入されるお菓子のことです。お土産として販売されることを目的として作られたお菓子だけでなく、その土地でしか作られていないためお土産として購入されるお菓子も含まれます。

この項目では、「銘菓・名菓」「郷土菓子」「地域限定菓子」に分類されるものも、すべて「土産菓子」として扱います。

土産菓子の歴史

土産菓子の起源は、神仏への供え物として作られたお菓子が、境内で売られるようになったことだと言われています。参拝者がお土産として持ち帰るようになり、次第に供え物とは関係のないお菓子も売られるようになりました。

安土桃山時代に茶道が発展すると、お茶請けとしてのお菓子が発展し始めました。また同時期に南蛮菓子が渡来し、京都を中心に大きな影響を与えました。南蛮菓子はキリスト教の布教とともに九州北部にも伝わりました。

江戸時代に入ると、街道での往来が盛んになり、茶店で売られていたお菓子が各地で独自の発展を遂げました。旅人の口コミによって、旅先のお菓子が広まっていったことも、地方でお菓子が発展する大きなきっかけとなりました。

この頃には、京都や江戸で茶道を学んだ地方の藩主が、城下町でお茶請けとしてのお菓子作りを奨励した例もあります。松江藩や加賀藩などが有名です。

江戸時代中期には、和三盆などの精糖技術が確立し、各地に白砂糖が伝わったことで、地方の菓子製法に大きな影響を与えました。

明治維新以降は、食材の多様化や洋菓子の一般化により、現在につながる多くの土産菓子が生まれました。

土産菓子は、かつては保存の関係から地元で消費されることが主でしたが、現在では交通網の発達や保存技術の向上により、全国的に販売・消費されるようになっています。

土産菓子の種類

土産菓子は、その性質や由来によって、いくつかの種類に分類できます。

銘菓・名菓

銘菓とは、菓子を献上した相手から名前を贈られたものや、歴史的な背景を持つお菓子のことです。名菓とは、一般的に優れたお菓子として認められたもので、「名物の菓子」を略したものとも言われています。どちらも主に和菓子店で作られるお菓子を指し、店が自ら名付けることが多いですが、伝統のある店では、藩主や茶道の家元などから菓子の「銘」を与えられたものもあります。

郷土菓子

郷土菓子とは、その土地で古くから作られているお菓子のことです。由来や出所がはっきりしないお菓子について、銘菓ではなく郷土菓子という言葉が使われることが多いです。多くは地元で伝統的に作られていますが、砂糖が貴重だった時代には、サツマイモや果物などを使って甘味料を使わずに作られたお菓子もあり、食文化的に貴重な存在です。

地域限定菓子

地域限定菓子とは、菓子メーカーが全国的に販売している商品を、味や形を変えて特定の地域でのみ販売するお菓子です。もともとは新商品の試験販売として地域限定で販売されていたものが、旅行者のお土産として人気を集めるようになり、現在では、その土地に由来のある味付けを施し、地域限定であることを強調して販売されています。

北海道限定品のように、その土地の気候風土のみを考慮して作られたものや、沖縄県限定品のように、流通の関係から地元のみで生産・販売されているものもあります。

その他の土産菓子

商品名や内容物に地元由来のものが含まれているものの、歴史的な背景がないお菓子も土産菓子として販売されています。これらは主にお土産店で見られ、他の店ではあまり見かけないことが多いです。

海外の土産菓子

海外にも、日本の土産菓子に似たお菓子が存在します。例えば、ハワイのマカダミアナッツチョコレートや、台湾の鳳梨酥（パイナップルケーキ）などが有名です。また、地元の名所や動物をかたどったチョコレートも、土産菓子としてよく見られます。

土産菓子の例

以下に、土産菓子の例をいくつか挙げます。

饅頭
最中
餅菓子
大福
団子
かりんとう
落雁
煎餅
瓦煎餅
ゴーフル
ボーロ
コロン
サブレー
まころん
カステラ
ブッセ

参考文献

暮しの設計No127『城下町のお菓子 郷土菓子に残る日本の味と形』中央公論社、1979年
NHK趣味悠々『和菓子まるごと大全集』日本放送出版協会、2001年
泉麻人『ニッポン おみやげ紀行』講談社、2004年
グループ・コロンブス編『地域限定おかしなお菓子大集合』講談社、2004年

関連項目

日本のデザートとスイーツのリスト
温泉饅頭
和菓子
洋菓子
土産
特産品
* 南蛮菓子

もう一度検索