マンガルツボ

マンガルツボ（Iravadia quadrasi）

概要

マンガルツボは、ワカウラツボ科に属する体長3mm程度の小さな巻貝です。主に太平洋西部とインド洋にまたがる熱帯から亜熱帯の干潟、特にマングローブ林などの汽水域でみられます。この貝はその名前にも示されるように、マングローブ周辺に生息することが多いです。

名前の由来

属名「Iravadia」は、ミャンマーのイラワジデルタに由来し、これはこの属の基準種であるIravadia ornataの発見地です。種小名の「quadrasi」は、スペイン人ホセ・クアドラスの名に因んでいます。彼はフィリピンに住み、貝類の収集や販売を行っていました。

分布

この貝は、インド太平洋地域の底質が砂や泥の様々な干潟に広く分布しています。具体的には、日本の奄美大島以南、台湾、フィリピン、東南アジアの大陸沿岸、さらにはインドやアラビア湾の地域に生息しています。

形態

マンガルツボは、成貝では殻高3mmから3.5mm程度で、全体の形は低い塔型またはやや長い滴型をしています。最初の層は平らであり、それにより硬い殻頂が鈍く見えます。表面には、強い格子状の彫刻があり、殻の最後の巻きに7本の螺肋と、1つ上の層には4本の螺肋があります。これらの螺肋は縦肋と交差し、格子状になりますが、交差する縦肋は殻底では不鮮明です。殻口は楕円形で、特有の構造が見られますが、強い外縁を持った縦肋が殻口を取り囲みます。殻の色は主に白色ですが、淡黄褐色の殻皮に覆われることもあります。

生態

マンガルツボは主に河口近くの汽水域に分布し、特に干潮時に水溜まりや転石の下に見ることができます。彼らは底質に半分埋もれて生活し、主に生物遺骸を食べると考えられていますが、その繁殖や食性についての詳細な情報はまだ明らかにされていません。

分類

マンガルツボは1893年にBöttgerによって初めて記載され、その学名はAlvania quadrasiです。この貝は他にもさまざまな異名を持ちますが、Iravadia (Iravadia) quadrasiが一般的です。

人間との関係

この貝は非常に小さいため、食用として利用されることはありませんが、環境開発による生息地の減少や劣化が懸念されています。特に沖縄県では、赤土の沈積や水域の富栄養化によって生息場所が減少しているとの報告があります。環境省や県のレッドリストにも掲載されていますが、最近ではその扱いが見直され、対象外となった事例もあります。今後の保護活動が必要とされています。

まとめ

マンガルツボは小さくて魅力的な生物で、干潟の生態系において重要な役割を果たすことから、その保護が求められています。環境変化に敏感な生物であるため、彼らの生息環境を守ることが未来の生物多様性維持につながるでしょう。

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