マントヴァとサッビオネータ

マントヴァとサッビオネータ：ルネサンス都市計画の傑作

マントヴァとサッビオネータは、イタリアのマントヴァ県に所在する二つの都市であり、2008年にユネスコの世界遺産に登録されました。この世界遺産は、ルネサンス期の都市計画の優れた例として、その歴史的、文化的価値が認められています。登録されているのは、マントヴァとサッビオネータそれぞれの歴史地区で、両都市は異なる特徴を持っています。

マントヴァ

マントヴァは、マントヴァ県の県庁所在地であり、その歴史は紀元前6世紀にまで遡ります。中世からルネサンス期にかけてはゴンザーガ家の支配下で発展し、特に16世紀にはフェデリーコ2世のもとでルネサンス様式の建築が数多く建てられました。ジュリオ・ロマーノを招いて行われた建築活動は、マントヴァの都市景観を大きく変えました。世界遺産に登録されているのは、エルベ広場、マンテーニャ広場、ソルデッロ広場などの市中心部と、テ宮殿（テ離宮）周辺のエリアで、これらの地域には中世からルネサンス期の建造物が数多く残っています。

エルベ広場: マントヴァの中心的な広場の一つで、歴史的な建物に囲まれています。
マンテーニャ広場: 有名な画家アンドレア・マンテーニャにちなんで名付けられた広場で、周辺には歴史的な建造物が多く見られます。
ソルデッロ広場: 中世の面影を残す広場で、歴史的な建物が並んでいます。
テ宮殿（テ離宮）: フェデリーコ2世が建設を命じたルネサンス様式の宮殿で、当時の芸術と建築の粋を集めたものです。

マントヴァの登録面積は175ヘクタール、緩衝地域は1,900ヘクタールに及びます。これらの地域では、ルネサンス建築だけでなく、それ以前の時代や様式の建築物も多く見られます。

サッビオネータ

サッビオネータは、マントヴァから約30km離れた場所に位置する計画都市です。16世紀にヴェスパシアーノ・ゴンザーガによって建設され、「小アテネ」とも呼ばれています。サッビオネータは、ヴェスパシアーノの理想を具現化した都市として、整然とした街区や六芒星型の城壁が特徴的です。この都市は、ルネサンス期の理想的な都市計画を体現した例として評価されています。

市庁舎: ヴェスパシアーノの意向が反映された、都市の中心となる建物です。
宮殿: ヴェスパシアーノが居住した宮殿で、ルネサンス様式の建築美が際立っています。
城壁: サッビオネータを囲む六芒星型の城壁は、都市の防御機能と美観を両立させた特徴的な要素です。

サッビオネータの登録面積は60ヘクタール、緩衝地域は430ヘクタールです。この地域には、ルネサンス期に建てられた多くの歴史的な建造物が残っています。

登録経緯

マントヴァとサッビオネータは、2006年6月1日に世界遺産の暫定リストに記載され、翌2007年1月26日に正式に推薦されました。国際記念物遺跡会議 (ICOMOS) は、当初登録基準に一部注文をつけましたが、最終的にはその普遍的な価値を認め、登録を勧告しました。この勧告に基づき、2008年の第32回世界遺産委員会で正式に世界遺産として登録が決定しました。

登録基準

この世界遺産は、以下の登録基準を満たしています。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
マントヴァとサッビオネータは、ルネサンス文化の交流を示す傑出した例です。既存の都市の変化と新たに建設された都市という、ルネサンス期における主要な二つの都市計画の形態を体現しています。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
* マントヴァとサッビオネータは、都市化、建築、芸術の領域における特定の文明の発展を物語る類稀な例証です。ゴンザーガ家によって培われたルネサンスの理想が、都市の形態、機能的な体系、伝統的な生産活動に色濃く残っています。

イタリア当局は、登録基準 (1) にも該当すると主張しましたが、ICOMOSからは証明が不十分であると判断され、この基準は適用されませんでした。

まとめ

マントヴァとサッビオネータは、ルネサンス期の都市計画を今に伝える貴重な遺産です。マントヴァは既存の都市がルネサンス様式に発展した例であり、サッビオネータは計画都市としてルネサンスの理想を体現しています。これらの都市は、建築、芸術、文化の面でルネサンス期の人類の創造性と理想を象徴するものとして、世界遺産に登録されています。

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