マーキュリー・カプリ

マーキュリー・カプリについて

マーキュリー・カプリは、フォードが製造したマーキュリーブランド向けのクーペで、1970年から1994年にかけて3つの世代が存在しました。このモデルはアメリカ市場において独自な位置付けで販売されたため、当時の自動車業界において特異な存在でした。

初代（1970年 - 1977年）

初代マーキュリー・カプリは、1970年4月にアメリカで販売を開始しました。このモデルはもともとドイツフォードで開発されたフォード・カプリを基にしており、リンカーンやマーキュリーのバッジやエンブレムは一切装備されていませんでした。そのため、単に「CAPRI」と記されたエンブレムが取り付けられ、ブランドの誇りよりもそのデザインが重視されていました。アメリカで同クラスの魅力的な競合車種、例えばマスタングやピントの存在があったため、マーキュリーの販売網を通じての販売は競争を避ける意図がありました。この販売戦略は、1985年にフォードがヨーロッパ製車両を北米に進出させるために設立したブランド「メルクール」に道を開くことになるのです。

2代目（1979年 - 1986年）

続いて1979年に発表された2代目カプリは、同年にリリースされた第三世代のマスタングのバリエーションとして位置づけられました。1974年のフルモデルチェンジでマーキュリー・クーガーがプラットフォームを変更したことに伴い、この新たなモデルはアメリカ市場向けに独自に設計されました。フォード・フォックス・プラットフォームを使用し、外見上はマスタングとほぼ同一でしたが、内部にはマーキュリー特有の装飾が施されていました。また、1983年にはマイナーチェンジが行われ、リアゲートドアの設計が改修されました。このモデルには多数のエンジンオプションが用意され、エンジンのバリエーションはマスタングの変更に準じており、ターボエンジンは1984年を最後に絶版となりました。しかし、販売成績は振るわず、1986年モデルをもって生産が終了しました。

3代目（1991年 - 1994年）

3代目マーキュリー・カプリは1990年に発表され、1991年から北米市場に登場しました。これはオーストラリアで製造されたもので、プラットフォームはマツダ・ファミリア/フォード・レーザーと共用の前輪駆動車でした。このモデルは、2+2の4シーターオープンカーとして設計されており、その独特なデザインはカロッツェリア・ギアによって手がけられました。しかし、競合車種の登場が相次ぐ中で、カプリは市場投入が遅れたため、影が薄くなってしまいました。それでも、4シーターとしての広さや、トランクスペースの大きさは他のモデルに比べて際立っていました。しかし、販売は振るわず、1994年モデルをもって早々に生産を終了しました。

まとめ

マーキュリー・カプリは、その独自のデザインや多様なエンジンオプションで多くのドライバーに親しまれましたが、競合の激化や販売戦略の影響で歴史に刻まれた印象が色濃く残るモデルです。興味深いのは、アメリカ市場における自動車ブランドの戦略と、時代ごとの消費者ニーズとの関係を考えさせる点です。

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関連項目

• - フォード・モーター
• - フォード・サンダーバード
• - マーキュリー・クーガー

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