マーキュリー・マリナー

マリナー (MARINER)

マリナー（MARINER）は、アメリカ合衆国の自動車メーカー、フォード・モーターが製造し、同社のマーキュリーブランドから販売されていたクロスオーバーSUVです。このモデルは、フォードが展開していた人気SUVであるフォード・エスケープ、およびマツダへOEM供給されていたマツダ・トリビュートと基本的な構造を共有する姉妹車の関係にありました。しかし、マリナーはこれら兄弟モデルと比較して、内装の質感や装備面においてやや上級志向に位置づけられていました。

マーキュリーブランドにとって、マリナーは初めて乗用車用のプラットフォームをベースとして開発されたSUVであり、ラインナップの中でも最小のモデルという位置づけも持ち合わせていました。生産は、エスケープやトリビュートと同じく、アメリカ・ミズーリ州にあるカンザスシティ工場で行われました。

歴史

初代 (2004年 - 2006年)

初代マリナーは、2003年4月に開催されたニューヨーク国際オートショーで初めて公開されました。市場投入は翌年、2005年モデルとして開始されました。車両の基本的なメカニズム、すなわちシャシーやサスペンション構造などは、姉妹モデルであるフォード・エスケープと共通でした。パワートレインには、直列4気筒2.3リッターエンジンと、よりパワフルなV型6気筒3.0リッターエンジンの2種類が用意されました。ただし、トランスミッションの選択肢は4速オートマチックトランスミッションのみであり、マニュアルトランスミッションの設定はありませんでした。

燃料効率に優れたハイブリッド仕様についても、エスケープに導入されていた技術をそのまま採用する形で、2006年モデルからラインナップに追加されました。このハイブリッドシステムも、エスケープ ハイブリッドと同一の構成でした。

2代目 (2007年 - 2011年)

2代目マリナーは、2007年から2008年モデルとして市場に投入されました。プラットフォームは、先代モデルで実績のあるものを引き継いでおり、基本的な骨格は大きく変更されませんでした。販売開始当初のパワートレイン構成も、初代と同じエンジンラインナップでした。

しかし、登場からしばらく経った2009年モデルにおいて、パワートレインに改良が加えられました。従来の直列4気筒2.3リッターエンジンに代わり、排気量を拡大した2.5リッターエンジンが新たに採用されました。さらに、トランスミッションも従来の4速オートマチックから、より多段化された6速オートマチックへと変更され、走行性能と燃費性能の向上が図られました。

マリナーの生産は、2010年10月3日をもって終了しました。この生産終了は、一般消費者向けに販売されたマーキュリーブランドの乗用車としては最後のモデルとなったことを意味しており、その後のブランド廃止に向けた動きの中で、歴史的な役割を担うこととなりました。

マリナーは、その短い販売期間ながら、マーキュリーブランドに新たな顧客層を取り込む試みとして重要な役割を果たしました。姉妹車との差別化を図りつつ、ブランドの末期を飾ったモデルの一つとして記憶されています。

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