マートルチャーム

マートルチャーム：輝ける競走馬としてのキャリアと繁殖牝馬としての成功

マートルチャーム(1946年-1964年)は、アメリカ合衆国で活躍したサラブレッドの競走馬にして、優れた繁殖牝馬です。類まれな才能を示した2歳時代、そして競走馬を引退後も、その血統は競馬界に大きな影響を与え続けました。

華々しいデビューと2歳女王への道

ケンタッキー州で生まれたマートルチャームは、その容姿から多くの人が祖母であるマートルウッドを彷彿とさせたと伝えられています。高くすらりとした体格、精悍な顔つきは、将来を期待させるに十分なものでした。1947年、キーンランドのイヤリングセールで、化粧品会社のオーナーであるエリザベス・アーデンによって2万7000ドルという高値で落札されます。これは、彼女の将来性を高く評価した証と言えるでしょう。

名伯楽ジミー・スミス調教師の指導の下、マートルチャームは競走馬としてのキャリアをスタートさせます。2歳シーズンはまさに圧巻で、デビューから3連勝。その中にはステークス競走であるメイトロンステークスも含まれており、将来性を証明しました。特にスピナウェイステークスでは20馬身という圧倒的な差をつけての勝利は、彼女の卓越した能力を示すものとなりました。さらに、牡馬相手にも果敢に挑んだフューチュリティステークスでは2着と健闘。これらの活躍により、彼女は1947年の獲得賞金6万4830ドルという輝かしい成績で、最優秀2歳牝馬の栄冠に輝きました。

3歳シーズンも競走生活を続け、モデスティステークスで勝利を収めますが、2歳時の活躍には及ばず、その後競走馬を引退します。8戦5勝、総獲得賞金8万1830ドルという成績は、彼女の競走馬としてのキャリアの輝かしさを物語っています。

繁殖牝馬としての成功：優秀な産駒たち

競走馬を引退したマートルチャームは、繁殖牝馬としての道を歩み始めます。彼女は9頭の競走馬を産みました。そのうち5頭がレースに出走し、4頭が勝利を収めるという優秀な成績を残しました。

中でも最も成功した産駒は、1952年生まれの牝馬マートルズジェットです。父はジェットパイロットという名馬。マートルズジェットは2歳から4歳まで活躍し、フリゼットステークスを含む5つのステークス競走で優勝するなど、母譲りの才能を遺憾なく発揮しました。

さらに注目すべきは、1959年生まれの牝馬フェアチャーマーです。自身は4戦1勝と目覚ましい活躍はしませんでしたが、その産駒であるマイチャーマーがフェアグラウンズオークスで優勝を果たします。そして、マイチャーマーは繁殖牝馬として、シアトルスルー、ロモンド、シアトルダンサーといった名馬を輩出しました。これは、マートルチャームの血統がいかに優れていたかを証明する結果と言えるでしょう。

結論：競馬史に名を刻んだ名牝

マートルチャームは、競走馬としての華々しい活躍と、繁殖牝馬としての成功という、競馬史に名を残す偉大な功績を残しました。彼女の血統は、現在でも多くの競走馬に受け継がれ、その影響は今も競馬界に広がり続けています。彼女の活躍は、競走馬としての才能と、繁殖牝馬としての能力の両方を兼ね備えた、稀有な存在であったことを示しています。 マートルチャームの物語は、競走馬の成功と血統の重要性を改めて私たちに示してくれる、感動的な物語と言えるでしょう。

参考文献

William H. P. Robertson (1964). The History of Thoroughbred Racing in America. Bonanza Books. ASIN B000B8NBV6

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