ミカエル・ラスムッセン

ミカエル・ラスムッセン（Michael Rasmussen、1974年6月1日 - ）は、デンマークの元自転車プロロードレース選手です。卓越したクライミング能力で知られ、2005年と2006年にはツール・ド・フランスの山岳王に輝きました。

しかし、その輝かしいキャリアの裏で、ドーピング問題が影を落としていました。2013年、彼は1998年から2010年までの約12年間、ドーピングを行っていたことを告白し、自転車競技からの引退を発表しました。

経歴

1999年にはMTB世界選手権で優勝。2001年からはロードレースに転向し、その才能を開花させます。2003年のブエルタ・ア・エスパーニャでは第7ステージで優勝し、注目を集めました。

2005年のツール・ド・フランスでは、第9ステージで大胆な逃げを成功させ、一躍脚光を浴びます。総合順位を3位まで上げましたが、第20ステージのタイムトライアルで二度の落車と三度の自転車交換に見舞われ、最終的な総合順位は7位に終わりました。しかし、山岳ポイントでは首位を守り抜き、マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ（山岳賞ジャージ）を獲得しました。

2006年のツール・ド・フランスでは、当初エースのデニス・メンショフのアシストに徹していましたが、メンショフの総合優勝が困難になると、第16ステージで自ら逃げ切り、ステージ優勝を飾りました。この年もラスムッセンは山岳賞を獲得し、2年連続の山岳王に輝きました。

2007年ツール・ド・フランス

2007年のツール・ド・フランスでも、ラスムッセンは山岳ステージで積極的な走りを見せ、マイヨ・ジョーヌ（総合首位）とマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ（山岳賞）を同時に獲得する活躍を見せました。ライバルのアレクサンドル・ヴィノクロフの落車やドーピング疑惑による途中棄権、個人タイムトライアルでの降雨など、展開にも恵まれ、第16ステージの山岳で圧勝し、総合優勝はほぼ確実と思われました。

しかし、ツール・ド・フランス開催前に、抜き打ちドーピング検査のための所在地報告を怠ったとして、デンマーク自転車協会からナショナル・チームを追放処分を受けます。これにより、2007年の世界選手権や2008年の北京オリンピックへの出場資格を失い、ドーピング疑惑も浮上しました。さらに、6月中にチームに対し虚偽の所在地を報告していたとして、第16ステージに勝利したその日の夜に所属チームのラボバンクを解雇されました。

チーム側は「彼はチームから追放された。泥棒のようにホテルを出て行った。家族に嘘をつくことは許されない」とコメントし、ラスムッセンの行為を非難しました。一方、ラスムッセンは「自分は動物のようにホテルから追い出された」とチームの対応を批判しました。また、引退するつもりはないとも語りました。

所在地報告を怠った理由について、ラスムッセンは当初メキシコに滞在中で連絡が取れなかったと釈明しましたが、後にダヴィデ・カッサーニが6月にドロミテでラスムッセンを目撃したと証言しました。しかし、ラスムッセンの義理の兄弟と母親は、その日ラスムッセンはメキシコにいたと証言し、両者の主張は食い違いました。その後、ラスムッセン本人が記者会見で、問題の期間にイタリアにいたことと虚偽報告の事実を認め、チーム側もそれを把握していたと述べました。ただし、ドーピングについては否定しました。

2008年、モナコ自転車競技連盟は、ラスムッセンに対し2年間の競技停止処分を言い渡しました。期間はラボバンクを解雇された2007年7月25日から起算され、2009年7月24日までとなりました。

レースへの復帰と引退

出場停止期間が明けた直後の2009年7月25日、ラスムッセンはデンマークで行われたレースで復帰を果たしました。その後、メキシコのチームと契約し、ブエルタ・チワワで勝利を飾りました。2010年にはイタリアのチーム、2012年にはデンマークのチームに移籍しました。

しかし、2013年1月31日、ラスムッセンは長年にわたるドーピングを告白し、現役引退を発表しました。告白は、他選手らの告発を含むドーピングに関する自身の経験すべてを明かす取引の一環でした。

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