ミケ (自転車メーカー)

イタリア老舗自転車部品メーカーMICHE(ミケ)の軌跡と魅力

1919年、イタリアのトレヴィーゾ県サン・ヴェンデミアーノでフェルディナンド・ミシュランによって創業されたMICHE(ミケ)。創業当初は「Michelin」としてクランクやチェーンリングなどを製造していました。現在もイタリアで生産を続ける数少ないコンポーネントメーカーとして、自転車愛好家から高い評価を受けています。愛称として「ミッチェ」と呼ばれることもあります。

歴史：試練と成長の歩み

創業当初は「Ciclopiave」という社名で自転車や原付の製造も行っていましたが、1935年には自転車コンポーネントとアクセサリーの製造に事業を特化。1963年にはフェルディナンド・ミシュランが事業を分割し、息子であるイタロとティデオにそれぞれパーツ製造と車体製造部門を継承させました。ティデオが担当した車体製造部門は「ステラ・ヴェネタ」として、1964年東京オリンピックロードレースでイタリア代表のマリオ・ツァニン選手が使用し金メダルを獲得するなど、輝かしい実績を残しました。

しかし、フランスのタイヤメーカー「ミシュラン」との商標紛争を避けるため、MICHE社はタイヤ製造を行わないことを約束し、紳士協定を締結。その後、ティデオの死去に伴い車体製造部門は売却され、閉鎖されましたが、コンポーネント部門は成長を続けました。カンパニョーロ、シマノといった有名ブランドへ部品供給を行うなど、その技術力は高く評価されており、現在では自社ブランド製品の開発・製造に加え、他社へのOEM供給も行っています。

日本におけるMICHE

日本では、カンパニョーロやシマノといったグループセットメーカーの存在感に押され、知名度は高くありませんが、プロコンチネンタルチームへのコンポーネント供給実績を持つなど、高い性能を誇っています。近年では、一部製品がNJS規格の審査を通過し、競輪用トラックレーサーへの採用も認められるなど、その高い信頼性が改めて証明されています。2021年10月開業の千葉JPFドームでも使用されています。日本での輸入代理店は株式会社岩井商会です。

製品ラインナップ：多様なニーズに対応

ミケはクランク、カセットスプロケット、ホイールなどを組み合わせた「グループセット」を設計。ロードバイク、MTB、グラベルバイク、トラックレーサー向けに、さまざまなグループセットを用意しています。

ロードバイク用グループセット（2021年現在）

SUPERTYPE：前2速、後11速
SWR：前2速、後11速
SYNTIUM：前2速、後11速
RACE：前2速、後11速
TEAM：前2速、後10速

MTB用グループセット（2021年現在）

XTONE：前1速、後11速または12速

グラベルバイク用グループセット（2021年現在）

GRAFF：前2速、後11速
GRAFF ONE：前1速、後11速または12速

トラックレーサー用グループセット（2021年現在）

ATTIVA：SRM社製パワーメータークランク搭載
PISTARD
PRIMATO
XEPRSS

製品の特徴：独自の技術と高い互換性

ミケは、独自の技術「ハイスティフネスリンクギアマウントシステム」を採用したクランクを製造。一見4点止めに見えるクランクアームですが、実際は6点止め構造となっており、高い剛性とシフト精度を実現しています。上位モデルのクランクにはカーボンアームを採用。カセットスプロケットはシマノ・カンパニョーロ互換のモデルに加え、カンパニョーロ12速互換モデルも用意。また、2020年からSRM社製パワーメーターアームを搭載したクランク「ATTIVA」シリーズを発売し、高いパフォーマンスを発揮しています。変速機は自社では製造しておらず、上位モデルではシマノ9100 Dura-Aceとの互換性があります。

まとめ：伝統と革新が融合したイタリアンブランド

MICHEは、長い歴史と高い技術力を誇るイタリアの自転車部品メーカーです。独自の技術と他社製品との高い互換性を両立させ、ロードバイクからトラックレーサーまで幅広いニーズに対応する製品を展開しています。日本の競輪界でも採用されるなど、その高い信頼性は揺るぎないものです。今後ますますの活躍が期待されるブランドです。

もう一度検索