ミケーレ・ピッチリーロ

イタリア出身のプロボクサー、ミケーレ・ピッチリーロは、1970年 1月29日にモドゥーニョで生を受けました。元IBF世界ウェルター級王者として、また、複数階級で欧州や国内タイトルを獲得した実績を持つ実力者です。

彼のプロキャリアは1992年12月18日に幕を開けました。デビュー戦を6回KO勝利という鮮やかな形で飾ったピッチリーロは、その後順調にキャリアを積み重ねていきます。1994年6月18日には、IBFインターコンチネンタルスーパーライト級王者マヌエル・エルナンデスに挑戦し、4回KOで勝利。このタイトルを獲得し、初めてのベルトを手にしました。同年12月17日にはビクトル・バラノフを相手に12回判定で初防衛に成功。さらに1995年3月24日にはベニト・マルチネスを8回KOで下し、2度目の防衛を果たします。

階級を上げたピッチリーロは、イタリア国内のタイトルも視野に入れます。1995年7月21日にはイタリアスーパーライト級王者フランコ・パルミエロに挑み、3回KOという一方的な内容で王座を獲得。同年9月27日にはアルベルト・アリセア相手に4回TKOでこのイタリア王座の防衛にも成功しています。

欧州タイトルへの挑戦も始まります。1996年4月26日、EBUヨーロッパスーパーライト級王座決定戦でソレーン・ソンダーガードと対戦しますが、12回判定の末、0-3のスコアで敗れ、この階級での欧州タイトル獲得はなりませんでした。しかし、同年8月24日にはフランシスコ・シオフィーを12回判定で破り、イタリアスーパーライト級王座の初防衛に成功するなど、国内での強さを示し続けました。

キャリアの転換点となったのは、ウェルター級への本格的な移行です。1997年11月29日、EBUヨーロッパウェルター級王座決定戦に臨み、ゲオフェ・マククレッシュを9回TKOで下し、欧州の舞台でのタイトル獲得を果たしました。この階級でさらに高みを目指し、1998年5月4日にはWBU世界ウェルター級王者アレッサンドロ・デュランと対戦。5回TKO勝利を収め、世界タイトルの一つであるWBU王座を手中に収めました。このWBU世界王座は、実に8度にわたって防衛に成功。その実力を世界に示しました。

2001年5月12日には、ボクシングの聖地、マディソン・スクエア・ガーデンでアメリカデビューを果たしましたが、エリオ・オルティスとの試合は4回無効試合という消化不良の結果に終わりました。

しかし、ピッチリーロの世界への挑戦は続きます。同年9月29日、元IBF世界スーパーライト級王者のラファエル・ピネダと対戦し、12回判定で勝利。この勝利により、IBF世界ウェルター級王座への挑戦権を獲得しました。そして迎えた2002年4月13日、当時の王者バーノン・フォレストの王座剥奪を受け、コーリー・スピンクスとのIBF世界ウェルター級王座決定戦に臨みました。激戦の末、12回判定で勝利し、ついに主要団体の一つであるIBFの世界王座を獲得しました。

念願の世界王者となったピッチリーロでしたが、その戴冠期間は短いものとなりました。2003年3月22日、初防衛戦の相手は再びコーリー・スピンクス。この再戦では前戦のリベンジを許し、12回判定の末、0-3のスコアで敗れ、王座から陥落することとなりました。

その後、階級をスーパーウェルター級に上げ、再び世界タイトルを目指します。2005年8月13日、シカゴで行われたリカルド・マヨルガとのWBC世界スーパーウェルター級王座決定戦に挑みましたが、12回判定負けを喫し、2階級制覇はなりませんでした。

しかし、欧州での強さは健在でした。2006年3月10日、ルーカス・コネチとのEBUヨーロッパスーパーウェルター級王座決定戦に勝利し、EBUタイトルをウェルター級に続きスーパーウェルター級でも獲得、欧州での2階級制覇を達成しました。このEBUスーパーウェルター級王座は、ルカ・メッシー（11回TKO勝利）、ミッチェル・ジョーンズ（12回TKO勝利）を相手に2度の防衛に成功しています。

キャリアの晩年、再び世界タイトルのチャンスが訪れます。2007年12月1日、WBC世界スーパーウェルター級王者バーノン・フォレストと対戦。しかし、11回TKO負けを喫し、この試合でも2階級制覇は果たせませんでした。

彼の最後のリングは2009年3月6日となりました。ジェイミー・ムーアとのEBUヨーロッパスーパーウェルター級王座決定戦に挑みましたが、3回KO負けを喫し、この試合を最後に現役を引退しました。

ミケーレ・ピッチリーロは、そのキャリアを通じてIBFインターコンチネンタルスーパーライト級、イタリアスーパーライト級、EBUヨーロッパウェルター級、WBU世界ウェルター級、そしてIBF世界ウェルター級、EBUヨーロッパスーパーウェルター級と、数多くのタイトルを獲得しました。特にWBU世界王座の8度防衛は特筆されるべき実績です。世界最高峰のIBF王座は短命に終わりましたが、彼の粘り強く、様々な階級で戦い続けたキャリアは、イタリアボクシング界において重要な足跡を残しました。

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