リカルド・マヨルガ

1973年 10月3日にニカラグアで生まれたプロボクサー、リカルド・マヨルガは、ウェルター級とスーパーウェルター級で世界王座を獲得し、二階級制覇を達成した。彼のボクシングスタイルは、強烈なフックやアッパーを豪快に振り回すラフファイトが特徴で、「闘牛士（El Matador）」の異名にふさわしく、リスクを恐れず激しい打ち合いに身を投じ、KOかKOされるかというスリリングな試合展開を生み出した。予測不能な展開と豪快なファイトは多くのファンを魅了し、高い人気を誇った。

さらにマヨルガは、リングを離れても型破りな行動で注目を集めた。計量中に食べ物を口にしたり、試合後にリング上で葉巻を吸うなど、その奔放な振る舞いや、喫煙・飲酒を隠さない姿勢は常に話題となった。特に、試合前の記者会見やフェイスオフでは、相手への挑発や罵倒が原因で度々乱闘騒ぎを引き起こし、関係者が制止に追われる場面が繰り返された。

彼の入場曲はロス・ファブロソス・カディラクスの「マタドール」であった。

来歴

マヨルガのプロキャリアは1993年8月29日に始まり、デビュー戦は6回TKO負けという結果だった。その後、主に母国ニカラグアやコスタリカを拠点に活動。1995年1月にはニカラグア国内タイトルを獲得したが、その後に約3年間のブランクがあり、復帰後の1998年には連敗も経験した。

1999年にFECARBOXスーパーウェルター級王座、2000年にはWBAフェデラテンスーパーウェルター級王座を獲得。これらの地域タイトルを5度防衛し、着実に世界ランキングを上げた。2001年2月、アメリカでのデビュー戦を3回TKO勝利で飾り、この試合を機にプロモーターのドン・キングと契約を結んだ。

自身初の世界タイトル戦は2001年7月、WBA世界ウェルター級王者アンドリュー・ルイスに挑んだ一戦だったが、偶然のバッティングにより無効試合となった。しかし、翌2002年3月の再戦では5回TKOで勝利し、WBA世界ウェルター級王座を獲得した。

2003年1月にはWBC世界ウェルター級王者バーノン・フォレストとの王座統一戦に臨み、3回TKO勝ちを収めて統一王者となった。この勝利によりWBA規定でスーパー王座に認定された。試合後、リング上で葉巻を吸うというパフォーマンスを見せた。同年7月にはフォレストとのダイレクトリマッチを判定で制し、返り討ちにした。

しかし、2003年12月に行われたIBF王者コーリー・スピンクスとの3団体王座統一戦では判定負けを喫し、WBAスーパー王座とWBC王座から陥落した。同年10月発売の「リングマガジン」誌では、タバコをくわえた姿が表紙を飾り、「スポーツ界で最もクレージーな男」と紹介された。

その後、二階級上のミドル級にも挑戦したが、2004年10月のフェリックス・トリニダード戦では8回TKO負けに終わった。階級をスーパーウェルター級に戻し、2005年8月には元IBF王者ミケーレ・ピッチリーロに判定勝ちし、空位のWBC世界スーパーウェルター級王座を獲得。これにより二階級制覇を達成した。

2006年5月、オスカー・デ・ラ・ホーヤとの防衛戦では、初回にダウンを奪われるなどペースを失い、6回にTKO負けを喫し初防衛に失敗した。この試合後のドーピング検査では利尿剤が検出された。

2007年11月、元世界王者のフェルナンド・バルガスとの試合では、試合前の記者会見で激しい乱闘騒ぎを起こし、異例のアクリル板越しの会見となった末、僅差の判定勝ちを収めた。2008年9月にはシェーン・モズリーと対戦。激しい打ち合いを展開したが、最終ラウンド終盤にダウンを奪われ失神KO負けを喫した。

2011年3月、ミゲール・コットとの試合では、終盤に自ら試合続行不可能を訴えTKO負け。試合後にはボクシングからの引退を示唆した。

その後、ボクシング復帰の噂や計画が何度か浮上したが、プロモーターとの契約問題などで実現が遅れた。2014年9月、約3年半ぶりにリングに復帰し、アレン・メディナに1回TKO勝利を飾った。しかし、2015年8月のシェーン・モズリーとの再戦では、大幅な体重超過の失態を犯した上に、ボディ攻撃でキャリア初のカウントアウトによるKO負けを喫した。

私生活では、2020年1月に地元で強盗に襲われ、重傷を負うという不幸に見舞われた。

総合格闘技挑戦

マヨルガはボクシングキャリアの中断期間に総合格闘技（MMA）への挑戦も試みた。2010年には試合が組まれたものの、ボクシングの独占契約を理由にプロモーターが提訴し、裁判所の判断により試合直前に中止となった。この際も記者会見で相手にタバコの煙を吐きかけ乱闘騒ぎを起こしている。

2013年5月には母国ニカラグアでMMAデビューを果たしたが、ウェズレー・ティファーとの試合は、ルール違反の膝攻撃によりTKO勝ちがノーコンテストに訂正された。この件と体重超過により3ヶ月の出場停止処分を受けた。その後、同年中にMMAで2試合を行ったがいずれも関節技による一本負けを喫した。MMAの戦績は4戦3敗1ノーコンテストで、その後ボクシングへの復帰を表明した。

獲得タイトル

ニカラグアスーパーライト級王座
FECARBOXスーパーウェルター級王座
WBAフェデラテンスーパーウェルター級王座
WBA世界ウェルター級王座
WBC世界ウェルター級王座
WBA世界ウェルター級スーパー王座
WBC世界スーパーウェルター級王座
WBCアメリカ大陸スーパーミドル級王座

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