ミシェル・ベロフ

ミシェル・ベロフ（Michel Béroff）

ミシェル・ベロフは、1950年5月9日にフランスのヴォージュ県エピナルに生まれた著名なピアニストです。特にドビュッシーやメシアンといった近代フランス音楽の演奏において、その優れた技術と解釈で知られています。彼の演奏は、聴く者を魅了し、音楽の深い情熱を伝えます。

演奏歴

ベロフはナンシー音楽院で音楽を学び、その後パリ音楽院に進学。1966年には首席で卒業し、1967年にはパリで初のリサイタルを開催しました。同年、彼は第1回オリヴィエ・メシアン国際コンクールで見事に優勝。特に1970年には、メシアンの作品『幼な児イエズスに注ぐ20のまなざし』の全曲を演奏し、これがイヴォンヌ・ロリオの初演以来25年ぶりの全曲演奏として大きな注目を集めました。

彼は以降、世界中で演奏会を行い、レコーディングも積極的に行うことで、若い頃から国際的なキャリアを築いていきました。しかし1980年代半ばには、右手に故障が生じ、第一線から一時的に退くこととなりましたが、1990年代には再び両手で演奏できるように回復。1989年からは母校であるパリ音楽院で指導を行っています。

共演

ベロフは数多くの著名な指揮者や音楽家と共演してきました。クラウディオ・アバドやダニエル・バレンボイムをはじめ、レナード・バーンスタインやピエール・ブーレーズなど、国際的なマエストロとの共演も多くあります。室内楽においてもピエール・アモイヤルやオーギュスタン・デュメイといった演奏家たちと共演し、豊かな音楽体験を提供しています。

一方、彼は右手首の故障に見舞われた時期に、その経験を活かして指揮法を探求したり、左手専用のレパートリーを模索しました。この頃、マルタ・アルゲリッチがアバド指揮のロンドン交響楽団との共演でラヴェルの《ピアノ協奏曲》を録音する際、左手のための《協奏曲》のソリストとしてベロフを推薦したことが、彼の復帰のきっかけとなったと言われています。その後、彼は「ブーレーズ・フェスティバル」にも参加し、バルトークの『ピアノ協奏曲 第2番』の独奏者としての役割も果たしました。

レパートリー

フランス印象派音楽に特化した演奏家として広く知られるベロフですが、実はそのレパートリーは多岐にわたります。ドビュッシーやラヴェルはもちろん、フランツ・リストやムソルグスキー、プロコフィエフといったヴィルトゥオーソ向けの難曲にも秀でており、シューマンやブラームス、サン＝サーンスといったロマン派音楽の解釈においても高い感性を示します。

日本での演奏活動

ベロフは日本でも度々演奏し、その数多くの公演が高く評価されています。1996年にはドビュッシーのリサイタルやNHK交響楽団、新星日本交響楽団との共演を行いました。1997年にはハーグ・レジデンティ管弦楽団と共演し、パリではドビュッシーのピアノ曲全曲を連続演奏しました。続く1998年、彼はエサ＝ペッカ・サロネン指揮の日本フィルハーモニー交響楽団と、また1999年にはクルト・マズア指揮のニューヨーク・フィルハーモニックと共演しました。2000年には東京や大阪でメシアンの『20のまなざし』の全曲演奏も行いました。

このように、ミシェル・ベロフはその驚異的な技術と深い音楽性をもって、国際的な音楽シーンでの地位を確立し続けています。

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