ミス・ユニバース1984

ミス・ユニバース1984

第33回目となるミス・ユニバース世界大会、ミス・ユニバース1984は、1984年7月9日にアメリカ合衆国フロリダ州マイアミにあるジェームズ・L・ナイト・コンベンション・センターで華やかに開催されました。この年の大会には、世界各地から81の国と地域の代表が集まり、それぞれの美と知性を競い合いました。日本からは、新山恵氏が国の代表として参加しました。

この権威ある大会で、最も輝かしい栄冠を手にしたのは、スウェーデン代表のイボンヌ・ライディングでした。彼女は、前年大会の優勝者であるニュージーランド代表のロレーン・ダウンズ氏から、新たなミス・ユニバースとしてその王冠を受け継ぎました。

大会では、優勝者だけでなく、いくつかの特別な功績が称えられました。友好精神を最も体現した人物に贈られるミス・アミティーは、ジブラルタル代表のジェシカ・パラオ氏に。写真家たちが最も魅力的だと評価したミス・フォトジェニックには、スペイン代表のガルビネ・アバソロ氏が選ばれました。そして、各国独自の文化を反映した最も優れたナショナル・コスチューム賞は、インド代表のジューヒー・チャーウラー氏が受賞しました。

開催地決定を巡る紆余曲折

1984年大会の開催地決定は、予期せぬ展開と複雑な交渉によって特徴づけられました。当初、カナダのアルバータ州にある都市、カルガリーが大会の開催都市として内定し、その決定は1984年3月13日に公式に発表されました。しかし、この発表からわずか数日のうちに、財政的な懸念が浮上します。カルガリー市議会が、地元の観光局による大会への継続的な資金援助を承認しない見通しが強まったためです。

財政問題の解決に向けた交渉が行われ、市の資金を使用することは認められたものの、後日返済が必要という条件付きの合意に落ち着きました。それでもなお、市民や一部の関係者からは、「性的な魅力を利用して都市のイメージアップを図るのか」といった倫理的な側面からの批判や不満の声が上がりました。

財政的な膠着状態が解消されないまま時間が経過し、1984年4月下旬には、大会開催地がフロリダ州マイアミへと変更される可能性が濃厚となりました。一方で、カルガリーでの大会開催実現を望む関係者たちの間では、依然として開催地変更に対する抵抗があり、調整が続けられていました。

カルガリーの観光局関係者は、状況を打開しようと懸命な働きかけを続けましたが、結局その努力は実を結びませんでした。最終的に、1984年5月12日、公式にマイアミが新しい開催地として決定・発表されたのです。この開催地変更の結果、カルガリー市は12万5000ドルという多額の費用負担を強いられることになり、さらには大会運営主体であるミス・ユニバース社から訴訟を起こされる可能性にも直面するという、厳しい結末を迎えることになりました。

このように、ミス・ユニバース1984は、華やかな大会そのものだけでなく、開催地にまつわる波乱の経緯においても、特筆すべき歴史を残しました。

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