ミス・ユニバース1993

ミス・ユニバース1993 大会の概要

1993年5月21日、第42回を迎えたミス・ユニバース世界大会は、メキシコの首都メキシコシティにあるナショナル・オーディトリアムを舞台に開催されました。この国際的な美の祭典には、世界中から集まった79カ国の代表が参加し、それぞれの国の文化と美しさを披露しました。

大会のクライマックスでは、プエルトリコ代表のダヤナラ・トレスが見事優勝の栄冠に輝きました。前年のミス・ユニバースであるナミビア代表のミッチェル・マクリーンから、後継者としてティアラが引き継がれる感動的な瞬間が訪れました。日本からは志岐幸子が出場しました。

メキシコでの開催と大会運営

メキシコがミス・ユニバースのホスト国となるのは、この時が3度目にあたります。特に、前回の開催地でもあり、メキシコ初のミス・ユニバース優勝者となったルピタ・ジョーンズが誕生した1991年の大会からわずか2年後の開催となりました。

大会の司会は、アメリカの著名なパーソナリティであるディック・クラークが担当しました。彼にとって、この1993年大会は4度目となるミス・ユニバースでの司会であり、同時に最後の担当ともなりました。また、カラーコメンテーターとしては、過去のミス・ユニバース経験者であるセシリア・ボロッコ氏（1987年優勝）とアンヘラ・フィッサー氏（1989年優勝）が参加し、大会に華を添えました。

テレビ放送に先立つ数週間、世界各国から集まった参加者たちは、メキシコの豊かな文化と自然に触れる機会を得ました。カンペチェ州、オアハカ州、サカテカス州、ケレタ州といった歴史ある地域や、メキシコシティ近郊のソチミルコ地区を訪問し、公式行事への参加と観光を兼ねた充実した日々を過ごしました。

会場を騒がせた異例の出来事

この大会で最も特筆すべき、そして異例の事態となったのが、会場であるナショナル・オーディトリアムを包んだ観衆によるブーイングでした。騒動の発端は、地元メキシコ代表のアンジェリーナ・ゴンザレスが、ナショナル・コスチューム審査のトップ10に入れず、さらに本選のセミファイナリスト10名にも選ばれなかったことでした。

この結果に対し、地元観衆の不満が爆発し、会場は騒然となりました。ブーイングは特に、ミス・ユニバース機構の本部があるアメリカ合衆国の代表、ケニア・ムーアに向けられました。さらに、審査員が紹介される際にもブーイングは高まり、特にメキシコ出身の審査員であるホセ・ルイス・クエバス氏と、前述の1991年ミス・ユニバースであるルピタ・ジョーンズ氏が紹介された際には、一層激しい反発が起こりました。観衆は、メキシコ代表が入賞できなかったことに対して、これらの人物に責任があるかのように捉えていたと考えられます。

大会序盤の2つの審査、水着審査とインタビュー審査の間中、ブーイングは会場に響き渡り続け、大会の進行に影響を与えました。会場の騒ぎがようやく沈静化したのは、前年優勝者のミッチェル・マクリーンらが舞台上で『ゲット・オン・ユア・フィート』を歌い踊るミュージカル・ナンバーが披露された後でした。このパフォーマンスによって観衆の興奮が和らぎ、その後に行われたイブニングガウン審査、審査員の質問、最終質問、そして戴冠式といった重要なパートは、大きな混乱なく滞りなく進行しました。

最終結果と特別賞

激動の一夜を経て、プエルトリコ代表のダヤナラ・トレスが栄冠を手にしました。大会では入賞者の他に、特別賞も発表されました。

ミス・コンジニアリティには、ガーナ代表のジャミラ・ハルナ・ダンズル。
ミス・フォトジェニックには、スペイン代表のエウヘニア・サンタナ。
* そして、ベスト・ナショナル・コスチュームには、ノルウェー代表のイネ・ベアテ・ストランドが選ばれました。

ミス・ユニバース1993大会は、プエルトリコ代表の優勝という華やかな結末を迎えましたが、地元代表の敗退に起因する観衆のブーイングという異例の出来事によって、その歴史に特別な一ページを刻むこととなりました。

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