ミズタマソウ属

ミズタマソウ属 (Circaea) について

ミズタマソウ属は、アカバナ科に分類される多年草のグループです。学名は Circaea と表記し、特徴的な「水玉草」という漢字名を持ちます。

特徴

ミズタマソウ属の植物は、以下のような特徴を持ちます。

形態: 茎は細長く、葉は単葉で対生します。葉には葉柄があり、縁には鋸歯が見られます。
花: 小さな両性花を咲かせ、通常は白色です。花は茎の先端または上部の葉腋から総状花序として現れます。花は2数性で、萼裂片と花弁がそれぞれ2個ずつあります。
雄蕊と雌蕊: 雄蕊は2個で、花弁と互い違いに配置されます。子房は下位で、1-2室に分かれ、かぎ状の毛があります。花柱は糸状で、柱頭は頭状になります。
果実: かぎ状の刺毛が残る堅果で、熟しても裂開しません。各室には1個の種子が含まれています。

分布

ミズタマソウ属は、日本に5種、世界には約12種が分布しています。主に温帯地域に生育しています。

日本に分布する種

日本国内には、以下のミズタマソウ属の植物が分布しています。

ミヤマタニタデ (Circaea alpina L. subsp. alpina): 深山や高山に生息し、草丈は5-18cmと比較的低いのが特徴です。
ケミヤマタニタデ (Circaea alpina L. subsp. caulescens (Kom.) Tatew.)
エゾミズタマソウ (Circaea canadensis (L.) Hill subsp. quadrisulcata (Maxim.) Boufford): 植物全体にほとんど毛がなく、葉の基部がやや心形になるのが特徴です。花柄には短い腺毛が密生しています。
ウシタキソウ (Circaea cordata Royle): 全体的に毛が多く、葉柄が長く、葉の基部が卵状心形になります。
タニタデ (Circaea erubescens Franch. et Sav.): 花柄は無毛で、茎の節部と葉柄が紅色を帯びます。葉の基部は丸みを帯びています。
ミズタマソウ (Circaea mollis Siebold et Zucc.): 茎に下向きの細毛があり、茎の節部が多少紅色を帯びます。葉の基部はくさび形になります。
ミヤマミズタマソウ (Circaea mollis Siebold et Zucc. f. montana Hiyama)

自然交雑種

ミズタマソウ属の植物は、種間で自然交雑を起こすことがあります。以下は、日本で確認されている主な自然交雑種です。

ミズタマタニタデ (Circaea erubescens × C. mollis) : タニタデとミズタマソウの交雑種
タニタデモドキ (Circaea × decipiens) : タニタデとエゾミズタマソウの交雑種
オオタニタデ (Circaea × dubia) : タニタデとウシタキソウの交雑種
マルヤマタニタデ (Circaea × mentiens) : ミヤマタニタデとタニタデの交雑種
ヒロハノミズタマソウ (Circaea × ovata) : ウシタキソウとミズタマソウの交雑種
ハヤチネミズタマソウ (Circaea × skvortsovii) : ウシタキソウとエゾミズタマソウの交雑種
ヤマタニタデ (Circaea × sterilis) : ミヤマタニタデとエゾミズタマソウの交雑種

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本II離弁花類』、1982年、平凡社
牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』、2013年、山と溪谷社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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