ミッチャー級駆逐艦

ミッチャー級駆逐艦

ミッチャー級駆逐艦は、アメリカ海軍に属した駆逐艦の艦級であり、1948年度の計画で4隻が発注されました。これは、新しい主機と強力な防空、対潜能力を備えた高速艦隊護衛艦のプロトタイプともいえる存在でした。特に、当時のアメリカ海軍は、世界でも最大の駆逐艦を保有しており、1951年から1975年までの期間、嚮導駆逐艦（フリゲート）として新たな役割を担い、1964年度には「ミッチャー」と「ジョン・S・マケイン」がミサイル駆逐艦に改装されました。

来歴

1946年に行われた駆逐艦研究会では、戦後に求められるべき駆逐艦隊の姿が話し合われていました。ここで策定されたのは、艦隊の直衛としての駆逐艦と、その他の目的に使える護衛艦との組み合わせでした。しかし、大戦型駆逐艦の設計では、対空兵器を維持しながら対潜戦能力を強化することが難しいことが分かりました。潜水艦の脅威が増す中で、艦隊護衛艦は対潜能力の向上が不可欠とされ、結果として船体は大型化していくことになりました。

艦船局によって初めて作成された設計案は、3,682トンの基準排水量と145メートルの全長を持ち、54口径127mm連装砲や76mm連装速射砲などを装備する予定でしたが、最終的には基本計画が見直され、J案を基にした艦が建造されることになりました。本級は、通常の艦隊駆逐艦として建造されましたが、そのサイズのため、1951年に嚮導駆逐艦に種別変更され、1955年にはフリゲートと改称されました。

設計

本級の設計は駆逐艦の基準に基づいており、高い乾舷を持つ平甲板船型が採用されています。主機関には、アメリカ海軍で初めての蒸気圧力1,200 psi以上の高圧ボイラーが採用され、その性格上、前期建造艦と後期建造艦では異なるタイプのボイラーが搭載されることになりました。また、2段減速ギヤード・タービンが2基装備され、効率の良さが重視されています。

電源は、タービン主発電機とディーゼル非常発電機が搭載され、電力供給に必要な安定性が確保されています。

装備

対空戦

ミッチャー級では、新開発の両用砲である54口径127mm単装速射砲と70口径76mm連装速射砲が計画され、より高い防空火力が見込まれていました。艦上戦闘機のための管制も行い、対空捜索レーダーや高角測定用のレーダーが搭載されました。このように、艦隊防空能力を強化するために、1963年に艦対空ミサイルの搭載が決定され、改装が行われました。

対潜戦

対潜兵器としては、当初533mm魚雷発射管が4門、324mm対潜ロケット砲が2基搭載されていましたが、後に装備が見直され、艦上ヘリコプターの運用設備が整備されました。これにより、対潜戦の能力向上が図られ、アメリカ海軍として初めて対潜ヘリコプターを搭載した例を作り出しました。

兵装・電装要目

兵装については、多様な武器が搭載され、艦体の大型化による高い防御力と戦略的価値が確保されています。ミッチャー級は、アメリカ海軍の駆逐艦の中で特異な存在として、様々な実験や運用の基礎を提供しました。

同型艦

この艦級には、いくつかの同型艦が存在し、各艦がそれぞれに特色を持っています。ミッチャー級駆逐艦は、海上自衛隊や他国の海軍とも関わりを持ち、今なおその設計思想や技術は多くの後継艦に受け継がれています。

もう一度検索